米国、ベネズエラに「次の段階」へ　マドゥロ政権揺さぶる秘密作戦の兆し

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2025.11.24

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ワシントンの会見場で、米政府高官がマイクに身を寄せ、ベネズエラ情勢への対応を「次の段階」に進める準備があると語った。数日以内にも始まり得るという新たな作戦には、ニコラス・マドゥロ政権を揺さぶる軍事・情報両面の措置が含まれ、これまでの経済制裁中心だった圧力とは違う性格がにじむ。

米国が描く新作戦とテロ組織指定の重み

複数の米当局者によれば、新作戦の出発点は水面下の秘密行動となる公算が大きいという。標的の1つとされるのが、マドゥロ大統領周辺と結びつく麻薬組織「カルテル・デ・ロス・ソレス」だ。米政権はこの組織を外国テロ組織に指定する方針で、指定が発効すれば、米国内の資産凍結に加え、組織への資金や物資の提供そのものが刑事罰の対象となる。

ドナルド・トランプ大統領は、テロ組織認定によってマドゥロ政権の資産やインフラ施設を攻撃する選択肢が法的に開けるとしつつ、現時点で行使を約束したわけではないと述べている。一方で同政権は、空母を含む艦艇やF35戦闘機をカリブ海周辺に展開し、麻薬輸送船とみなす船舶への空爆を繰り返しており、人権団体からは越権行為との批判も出ている。それでも米側はベネズエラ当局者との協議も並行して続けており、対話と圧力を同時に走らせる構図が浮かぶ。

航空路を巡る不安　空からも深まる孤立

軍事的な緊張は空の安全にも波及している。米連邦航空局（FAA）は、ベネズエラ上空とその周辺で治安の悪化と軍事活動の活発化が続き、全高度で民間機に危険を及ぼし得るとして、同空域を飛行する航空会社に高度な警戒を求める通告を出した。通告を受け、米航空会社は事前に72時間前の届け出が義務づけられ、一部は同国上空を経由しない経路への変更を進めている。

ベネズエラと周辺国を結ぶ路線でも、ブラジルのゴル航空やコロンビアのアビアンカ航空、TAPポルトガル航空などが首都カラカス発着便の運休を決めたほか、ラタム航空やイベリア航空、トルコ航空など複数の社が運航停止を発表した。空路の細りは、すでに経済危機と制裁で移動の選択肢が限られている市民の往来をさらに難しくし、南米各国の指導者からは「国そのものを封じ込めることは人々を閉じ込めることだ」との懸念も聞かれる。

首都の空港では、欠航を告げる電光掲示だけが静かに点滅しているという報告もある。遠く離れた海と空で重ねられる駆け引きが、人々の日常をどこまで細らせていくのか、その行方を見届けるしかない。