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2025年12月19日、米国のマルコ・ルビオ国務長官は、ベネズエラを巡ってロシアとの緊張が上がる可能性について「懸念していない」と記者団に述べた。米政権がカリブ海で軍事態勢を厚くし、制裁対象の石油取引にも圧力を強める中、外交の駆け引き以上に、海上輸送の現場が先に揺さぶられそうだ。
海上ルートに先に出る「摩擦」のコスト
報道各社によると、トランプ政権はカリブ海周辺に部隊を増派し、空母や艦艇、戦闘機も展開している。さらに、麻薬取引に関与したと米側が主張する船舶への攻撃や、制裁対象のタンカー拿捕、ベネズエラの石油流通を遮る「封鎖」を掲げた措置も重なる。ロシア外務省は前日に、米側の判断が国際的な海上輸送を脅かすと懸念を表明したとされる。
こうした局面で最初に不確実性を背負うのは、航路を決める船社や保険、港湾の運用者だ。制裁の執行が強まるほど、どこまでが「違反の疑い」で、どこからが「実力行使」なのかの線引きが見えにくくなる。中東の制裁監視でも起きたように、船舶の迂回や積み替えが増えれば、輸送日数や保険料の上昇が地域経済にじわりと波及する。
ルビオ氏の「想定内」発言が示す読み筋
ルビオ長官は、ロシアがマドゥロ政権への政治的支援を打ち出すのは織り込み済みで、米国の判断を左右しないとの考えを示した。別報では、ロシアはウクライナ対応で手いっぱいだとの見方にも触れたとされる。一方で、米側の一連の行動については透明性を欠くとの批判が米国内からも出ており、議会の関与や戦争権限の線引きを巡る火種は残る。
緊張が自動的に米露対立へ直結しないとしても、現場が誤算を許さない状況になりつつあるのは確かだ。例えば、封鎖の運用が広がれば、第三国の船舶や取引にも疑念が連鎖し、外交交渉より先に物流が詰まる恐れがある。米側が「麻薬対策」と「対マドゥロ圧力」の境界をどこに置くのか、ルールの明確化と地域外交が追いつくかが、次の焦点になりそうだ。
参考・出典
- Rubio says not concerned about escalation with Russia over Venezuela
- Trump and top aides refuse to rule out war with Venezuela | US foreign policy | The Guardian
- Rubio calls ‘status quo’ with Venezuela ‘intolerable’ as Trump admin sanctions Maduro family members – ABC17NEWS
- Russia urges US not to make ‘fatal mistake’ on Venezuela
