本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
世界貿易機関(WTO)の意思決定改革を巡り、協議を取り仕切るノルウェーのオルベルグ駐ジュネーブ大使は、2026年3月にカメルーンのヤウンデで開く閣僚会議までに「合意に届くほど進んでいない」との見方を非公開文書で示した。Reutersが2025年12月17日、12日付文書を確認して報じた。
「全員一致」の重さが、現場の時間を奪う
意思決定改革の焦点は、合意形成の原則だ。WTOは加盟166カ国・地域の「全会一致」を基本に動くが、裏返せば、1つの反対が議題全体を止めうる。全員が同時に首を縦に振るまで進めない仕組みは、交渉の公平さを担保する一方で、通商ルールの更新や紛争処理の改善を遅らせ、企業や輸出入の現場の見通しを曇らせてきた。
ヤウンデでの第14回閣僚会議(MC14、2026年3月26日〜29日)では、最終合意よりも「次に何を決めるか」を決める段階にとどまる可能性が高い。改革議論は、結論を急ぐほど対立点が露出する。だからこそ、まず枠組みを合意して議論の土俵を整えるのか、それとも現行ルールのまま“決められない状態”を引き延ばすのかが、加盟国の選択になりつつある。
多数国間協定をどう扱うか、WTOの外に出るか
もう1つの火種は、多数国間協定(plurilateral、賛同国だけで進め、後から参加も可能な形式)をWTOの枠内でどう位置づけるかだ。Reutersによれば、米国は「全会一致」が障害になり、賛同国で合意しても前に進めないことがWTOの存立を損ねると主張する一方、最恵国待遇(MFN、相手国を差別しない原則)の見直しにも踏み込む姿勢を示した。ただ、こうした問題提起が広く支持されているわけではないとも伝えられている。
現実には、電子商取引(デジタル貿易)などで、有志国が交渉を進めてWTOの法体系にどう組み込むかが、すでに具体的な争点になっている。日本が共同議長を務める枠組みも含め、合意文書が整っても「採択の手続き」でつまずけば、各国はWTOの外で別ルートを探しやすくなる。MC14は、包摂性を守りながら柔軟性も得るという難題に、加盟国がどこまで踏み込めるかを測る場になりそうだ。
