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防衛省は2025年11月17日（月）、日本最南端の与那国島付近で15日（土）に中国のものとみられる無人機を確認し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進（スクランブル）で対応したと明らかにした。無人機は与那国島と台湾の間を飛行したとされ、領空侵犯の有無など詳細は公表されていない。南西空域の警戒態勢は継続している。
防衛省が与那国周辺で無人機を確認、空自が緊急発進し監視を継続
発表によると、確認されたのは2025年11月15日（土）。東シナ海側から与那国島と台湾の間を通過する形で無人機が飛行し、航空自衛隊南西航空方面隊の戦闘機が緊急発進して対応した。防衛省は機体の所属を「中国のものとみられる」としており、飛行高度や速度、搭載センサーなどの技術的な情報は示していない。現時点で被害や安全上のトラブルは確認されていないとして、警戒監視を続けている。
この海域では近年、与那国島と台湾の間を通って太平洋へ抜ける推定中国無人機の飛行が複数回確認され、その都度、空自機がスクランブルで対応してきた。飛行は往復や旋回を伴う例もあり、航跡の収集と識別を目的に監視が継続されている。無人機は人員リスクを抑えて長時間運用できるため、各国が情報収集任務で活用を拡大しているのが実情だ。
防衛省は、領空侵犯の恐れがある航空機に対して有人・無人を問わず対領空侵犯措置を実施する運用を続ける。過去には中国軍機の領空侵犯事案でも戦闘機を発進させ、通告や警告を行った例がある。今回も手順に沿って対処が取られ、必要に応じて外交ルートでの申し入れや追加の情報公表が検討される見込みだ。
無人機対応が常態化する南西空域、緊張感と抑止のあいだ
無人機へのスクランブルは、進路や挙動を把握して不測の事態を未然に防ぐ狙いがある。与那国島周辺は国際的な空路や海上交通の要衝でもあり、監視を絶やさないことが民間の安全確保にもつながる。有人機と違い、無人機は滞空時間が長く、航跡も多様だ。対応側は警戒態勢の持続性と費用対効果の両立を求められ、地上・海上のセンサーと航空戦力の連携が鍵になる。
一方、国内では政権の安全保障政策に視線が集まる。高市早苗首相の下で政府内の会議体や人事が動き、対外・経済政策の方針が整えられつつある。周辺国との関係が揺れやすい局面ほど、現場は通例の手順に沿って淡々と対処を積み重ねることが抑止力の維持に直結する。政治の緊張と現場の運用が並走する状態がしばらく続きそうだ。
今回の無人機の目的や通信状況などは明らかでないが、発表は迅速で、必要な最低限の情報が共有された。飛行の周期や機種の傾向が積み上がるにつれ、対応の精度も上がっていく。波打つ海域の上で、日常と異常の境い目を見分ける作業は、今日も変わらず続いている。
