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ウクライナのゼレンスキー大統領が、戦時下でも大統領選の実施に踏み切る用意があると表明した。12月9日、米国や欧州が投票の安全を保証すれば、およそ3カ月以内に選挙を実施できると記者団に語り、議会に関連法の準備を促す考えも示した。戦争が長期化する中、戦時下での選挙が市民や同盟国にどのような負担を強いるのかが焦点になりつつある。
市民に重くのしかかる「戦時選挙」
ウクライナでは、ロシアの全面侵攻が始まった2022年2月以降、戒厳令が敷かれ、憲法上は全国規模の選挙が禁じられている。前回の大統領選からはすでに5年以上が過ぎ、ゼレンスキー氏の任期は2024年に切れたが、戦時特例で延長されてきた経緯がある。
その一方で、前線の兵士や国外に避難した人々、ロシア占領地に残る住民など、数百万人が安全に投票できる仕組みはいまだ整っていない。ミサイル攻撃が続く中で投票所をどう守るのか、兵士にどのような方法で投票機会を確保するのかなど、具体的な制度設計はこれからの課題になる。
ゼレンスキー氏は「選挙の是非を決めるのはウクライナ国民だ」と強調しつつ、こうした現場の条件が整わなければ投票自体が形骸化しかねないとの認識もにじませている。選挙の実施は、民主主義の証しであると同時に、市民に新たなリスクを負わせる選択でもある。
米欧の圧力と安全保証の駆け引き
今回の発言の背景には、米国のトランプ大統領が「ウクライナは戦争を口実に選挙を避けている」と批判し、政権の正統性に疑問を投げかけたことがある。ゼレンスキー氏はこうした指摘を退けつつも、選挙実施の意思を示すことで、民主主義国としての姿勢を改めて示そうとしていると受け止められる。
同時に、ゼレンスキー氏は米欧に対し、投票所の防空体制や攻撃があった場合の制裁措置など、選挙を守るための具体的な安全保証を求めている。安全と法整備が条件だと明言することで、ウクライナ側は「民主主義の責任」を共有するよう同盟国にも迫っている形だ。
一方で、激しい戦闘が続く中での選挙には、国内でも慎重論が根強い。前線の状況次第では、選挙が政治対立をあおるだけで、安全保障上の弱点をさらす恐れもあるからだ。今後、ウクライナ社会は「いつ、どの条件ならば投票が許されるのか」という難しい問いに向き合うことになる。
参考・出典
- Ukraine ready for "security guaranteed" elections in 60-90 days: Zelensky
- Zelenskyy: I Am Ready for Elections, but Security and Rule of Law Are Key Conditions
- Ukraine's Zelenskiy says ready for elections, calls on partners to ensure security
- Zelenskyy ‘ready for elections’ after Trump questions Ukrainian democracy
- Zelenski está dispuesto a organizar elecciones en plena guerra si EE UU y la Unión Europea garantizan la seguridad
