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オーストラリアで10日、16歳未満がSNSアカウントを持つことを原則禁じる法律が施行された。TikTokやYouTube、インスタグラムなど10の主要サービスが対象で、違反した企業には最大4,950万豪ドルの罰金が科される。子どもの心身を守る世界初の全国的な規制だが、家庭や学校にはどんな変化が訪れるのか。
アカウント停止が子どもと親にもたらす日常の変化
新ルールでは、指定されたプラットフォームは16歳未満と判断した利用者のアカウントを見つけ出し、順次停止や削除を進めることが求められる。部活動の連絡やクラスのグループチャット、推しの配信チェックなど、日常の一部になっていた画面が突然閉じられる子も多い。
ただし、ログイン不要の公開コンテンツは引き続き閲覧できるため、YouTubeの多くの動画や企業の案内ページなどは見ることができる。政府やeSafety委員会は、処罰の対象は企業であり、子どもや保護者に罰金が科されることはないと説明する。16歳までSNSアカウントを「持たない期間」を確保し、その間に家庭でオンラインの危険や付き合い方を話し合う時間をつくる狙いだと位置づけている。
企業の年齢確認と監視への不安、広がる議論
今回の規制は、オンライン安全法を改正した「ソーシャルメディア最低年齢法」に基づき、政府機関とプライバシー当局が共同で監督する。各社は「合理的な措置」として年齢推定アルゴリズムや自撮り画像の解析などを組み合わせ、未成年アカウントを見分けることが想定されるが、政府は身分証の提示を一律に義務づけないとしている。
一方で、年齢確認のための顔画像や行動データがどこまで集められるのか、プライバシー保護団体や一部の専門家は強い懸念を示す。賛成派は、いじめや過激なコンテンツから子どもを守るための一歩だと評価するが、反対派は若者の表現の場を奪い、監視社会を進める恐れがあると指摘する。同様の規制を検討する国も出始める中、「保護」と「自律」の線引きをどう描くかという問いが、世界に突きつけられている。
