「資源の武器化」警戒も数量は堅調　中国の対日レアアース磁石輸出

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2025.12.23

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中国税関総署が2025年12月20日に公表した貿易統計を基に、11月の中国から日本向けレアアース磁石の輸出が304トンとなり、前月から34.7%増えて年内で最大になった。日中関係の緊張で「資源が武器化される」との警戒が強まる一方、数量面では目立つ締め付けは確認されていない。

増えたのは「安心材料」か、「駆け込み」か

レアアース磁石は、ひとことで言うとモーターなどの小型化と高効率化を支える部材だ。電気自動車や家電、産業用ロボットまで用途が広く、日本の調達は中国依存が大きい。11月は304トンと増勢がはっきりし、民間調査会社「鉄合金在線」が税関データを集計した数字では前年同月比でも40.9%増だった。

ただ、数量が増えたからといって不安が消えるわけではない。高市首相が台湾有事に触れた国会答弁を契機に、政治面の火種は残る。企業側から見れば、止まるのが怖いのは「禁輸」よりも、許可や検査が重くなって納期が読めなくなる局面だ。数字の増加は、在庫積み増しや短期の発注前倒しの結果という見方も出てくる。

レバーは輸出量より「手続き」に移りつつある

中国は2025年10月から、稀土関連の一部設備や原材料などに輸出管理をかける方針を示し、制度面の存在感を強めてきた。いっぽうでReutersは12月、輸出を円滑化するための包括的な許可の発給が進んでいると伝えている。締め付けと緩和が同時に語られる状況は、供給が「政治」だけでなく「制度運用」に左右される段階に入ったことを映す。

日本側の課題は、輸出量の増減を追うだけでなく、手続きの詰まりを前提にした備えをどう積むかにある。代替調達やリサイクルは時間がかかり、短期の現実解は在庫の厚みや複数調達先の確保になる。11月の増加は一息つけるデータだが、関係が揺れた瞬間に何が止まり得るのかという問いは、むしろ鮮明になった。