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北京の会議場に現れたのは、ドイツのラース・クリングバイル副首相兼財務相だった。2025年11月18日、中国側との協議を終えたばかりの同氏は、記者団に向かって静かに語り始めた。中国の過剰な生産能力に解決策が見えなければ、欧州連合は自らの市場を守るために動かざるを得ない――そう、はっきりと。
EU市場を守ると警告する独財務相
クリングバイル氏は、中国製品が世界市場にあふれる現状に強い危機感を示した。必要とあれば「欧州レベルで決定を下し、自国の市場をよりよく保護する」と中国側に伝えたと説明しつつ、本来は制裁や追加関税のような措置は望んでいないとも強調した。とはいえ、手をこまねいて欧州の雇用や産業基盤が損なわれることは受け入れられないという思いが、言葉の端々ににじんだ。
背景には、鉄鋼や太陽光パネル、電気自動車といった分野で、中国企業の巨額投資が続く一方、欧州勢が価格競争で押されている状況がある。欧州委員会は中国製電気自動車への補助金を巡り反補助金調査を進めており、公正な競争条件の確保はすでに大きな政治課題になっている。 一方で、EU各国の対中スタンスには温度差もあるため、同氏は訪中前に加盟国との意見調整を重ねたという。可能な限り一つのメッセージをそろえて臨むことで、中国に対しばらついた姿勢を見せないことが重要だと訴えた。
レアアース保証と、それでも残る不安
今回の訪中では、鉱物資源も大きなテーマになった。クリングバイル氏は前日の17日、中国の何立峰副首相と会談し、レアアースや重要鉱物の輸出規制を巡る懸念を伝えたという。中国側は、ドイツや欧州がこれらの資源に「信頼できる形で」アクセスできるようにするとの姿勢を示し、問題解決に前向きだと表明した。 風力発電や電気自動車のモーターなどに欠かせないレアアースだけに、その言葉はエネルギー転換を進める欧州にとって重い意味を持つ。
それでも同氏は、供給源が一国に偏ることへの警戒を崩さない。レアアースなどの調達を巡る混乱を避けるには、サプライチェーンを多様化し、代替産地の開拓やリサイクル技術の強化を進める必要があるとの考えを示した。 中国との通商摩擦を和らげつつ、長年積み上げてきた経済関係を維持したいという本音もにじむ。北京での対話の場を後にしたドイツ代表団には、静かな緊張とともに、欧州が選ぶべき進路の重さだけが残っているように見える。