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2025年12月12日、木原稔官房長官は記者会見で、首相官邸の公式サイトを装う偽サイトが確認されたと明らかにした。前日の12月11日に官邸側が公式HPやSNSで注意喚起しており、現時点で被害は把握していないという。偽情報が「入口」になる時代に、何が狙われているのかが問われている。
まず疑うべきは「入力を促す画面」
今回の偽サイトは、見た目を官邸HPに似せるだけでなく、個人情報の入力を誘導する内容だとされる。利用者が気付かないまま進めば、情報の抜き取りや、端末へのマルウェア混入といった二次被害につながりかねない。表面の「それらしさ」より、次の操作を求めてくる不自然さが危険信号になる。
官邸は12月11日、偽サイトの存在を公表し、アクセス前に正規のサイトであるか確認するよう呼びかけた。日常の対策としては、検索結果から開くより、ブックマークなど自分で確かめた経路を使う方が安全だ。慌てて入力しない、届いたリンクをそのまま踏まない、といった基本動作が効く。
木原長官は、誤った情報の拡散が国民に混乱や誤解を与え得るとして、看過できないとの姿勢を示した。偽サイトは「被害の発生」だけでなく、「本物が見つからなくなる」こと自体が社会コストになる。共有や転載の前に、どこ発の情報かを確かめる行為が、被害の連鎖を断つ。
政府側の対応は「広報と連携」、次の焦点は信頼の守り方
政府は被害の報告は把握していないとしつつ、関係省庁が連携して対応していると説明する。木原長官は、警察庁がウイルス対策ソフトの関連事業者に情報提供するなど、拡散の抑止や検知の強化に向けた動きも紹介した。被害確認を待たず、入口を閉じる初動が重視された形だ。
ただ、官邸の注意喚起は出せても、偽サイトの表示は利用者の端末やネット広告の動線で起きる。そこで鍵になるのは、広報だけでなく、セキュリティー事業者やプラットフォーム側といかに情報を素早く共有できるかだ。偽サイトの特徴が出回れば、ブロックや警告表示の精度が上がる。
官邸を装う偽サイトは、政治的な主張の拡散にも、金銭目的の詐取にも転用され得る。公式情報へたどり着く導線を守れなければ、国民の判断材料そのものが揺らぐ。対策の焦点は、サイトの「守り」だけでなく、利用者が迷わず本物に着ける仕組みをどう作るかに移りつつある。
