ドイツ連邦議会が兵役法可決、現役26万へ、予備役20万規模に

ドイツが新兵役法を可決 2035年までに最大26万人体制へ拡充

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ドイツ連邦議会(下院)は5日、兵役制度を抜本的に見直す新たな兵役法を可決した。現役兵力を現在の約18万3000人から2035年までに最大26万人へ、予備役も少なくとも20万人規模へ拡大する長期計画だ。ロシアとの緊張が続き北大西洋条約機構(NATO)への責務が重くなるなか、誰がどこまで軍事負担を引き受けるのかという問いが、ドイツ社会の前に突き付けられている。

若者の進路に影を落とす「志願制+義務」の新モデル

新法の柱は、表向きは志願制を維持しつつ、18歳の若者全員を兵役候補として把握する仕組みだ。2026年以降、18歳に達した男女全員に健康状態や学歴、兵役への関心などを問うアンケートが送付され、男性は回答が義務、女性は任意とされる。さらに2008年以降に生まれた男性は、27年7月から医療検査を必ず受けることになる。

軍務に就くかどうかは当面あくまで本人の意思に委ねられるが、ロイター通信などによれば、志願者数が目標を大きく下回った場合や安全保障環境が急激に悪化した場合には、議会が別途決議すれば限定的な徴兵に踏み切れる条項も盛り込まれた。くじで対象者を選ぶ案まで検討された経緯があり、「いつ有事モードに切り替わるのか分かりにくい」との指摘も出ている。

一方で、短期の服務でも月2600ユーロ前後の手当や職業訓練を用意するなど、志願を促すインセンティブも強調されている。ドイツ公共放送や各紙の報道では、高校卒業後の進学・就職と兵役のどちらを優先すべきか、家族で話し合う様子や、学生のストライキ計画が伝えられている。将来設計を考える若者にとって、兵役が「遠い話」ではなく具体的な選択肢として入り込んでくる転換点となる。

2035年に46万人規模へ NATO目標が押し上げる兵力計画

今回の法改正で示されたのは、2035年までに現役兵26万人、予備役20万人、計46万人体制をめざす明確な数値だ。新華社電によれば、現在の現役兵はおよそ18万4000人で、人員不足は慢性的な課題だった。ドイツ政府は声明で、欧州の安全保障環境を踏まえ、NATOの能力目標を満たすために兵力を増強すると説明している。

ドイツは2011年に徴兵制を停止し、志願制の職業軍隊へと移行した。その後、ロシアによるウクライナ侵攻などを受けて、防衛費の大幅増額や兵器調達は進んだが、人員面の立て直しは思うように進んでこなかった。ドイツ公共放送DWによると、国防省は今後10年で少なくとも8万人の増員が必要だと見積もり、半年ごとに募集状況を議会に報告する仕組みも新法に組み込んだ。

一方で、連邦議会での採決は323対272と賛否が割れ、左派政党などは「事実上の徴兵制復活」だとして反対した。AP通信は、政府側が「まずは志願に依拠する」としつつも、必要と判断されれば男性に限定した義務的招集を認める余地を残した点を重視していると伝える。安全保障上の不安に応えることと、市民の自由や平等原則をどこまで制約するか――政府の描いた成長シナリオは、そのバランスの上に成り立つ。

欧州の再軍備の流れと、日本から見た「他人事でない」論点

今回の法改正は、ドイツ単独の動きではない。ロイターや欧州メディアによれば、北欧やバルト三国を中心に、徴兵制を維持・強化する国はすでに複数あり、フランスやイタリアも若者向けの奉仕・兵役プログラムを拡充している。ドイツは、全面的な徴兵制の即時復活ではなく、志願制を土台に登録と健康診断を義務化する「折衷案」を選んだ格好だ。

しかし、Euronewsなどの報道では、このモデルを「徴兵制への滑り坂」とみなす声も紹介されている。いったん全国民の名簿と健康情報が整えば、政治判断ひとつで義務的招集に踏み込めるからだ。他方で、ボランティアとして軍務に就いた後は予備役として地域防衛に関わる道も開かれ、軍だけでなく社会全体の防災・危機対応力を高める可能性を評価する見方もある。

日本でも、防衛力整備や人的リソースの確保をめぐる議論が続く。ドイツの新たな兵役モデルは、徴兵の有無という二者択一ではなく、「どこまで義務を課し、どこから先を自発性に委ねるのか」という設計の問題であることを浮かび上がらせた。安全保障環境の不安定さが続く限り、誰がどのような形で安全保障のコストを負担するのかという問いは、静かだが重い宿題として各国社会に残されるだろう。

参考・出典

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