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都内で交わされた短い握手が、秋の政局をじわりと揺らしている。国民民主党の榛葉賀津也幹事長が、前日の会談相手である自民党の麻生太郎元首相に何を告げたのか。7日のBS日テレ番組で榛葉氏は、いわゆる「年収103万円の壁」見直しとガソリン税の暫定税率廃止に関する自民・公明・国民民主の3党合意を履行するよう直球で迫ったと明かした。連立の有無ではなく、約束の実行を問う一言である。
麻生会談の舞台裏が示すもの
6日、麻生氏と榛葉氏は東京都内で30分ほど会談したと報じられている。臨時国会や物価高対策の補正予算が視野に入るなか、連携の可能性や距離感を測る場だったと映る。新執行部人事が動き出す自民の内情もにらみ、誰にどこまでボールを投げるのか。会談の一報が流れると、与野党の駆け引きが一段と熱を帯びた。
翌7日、榛葉氏は番組で前日の会談内容に言及し、「しっかりやってもらわないと困るということを伝えに行った」と語った。求めたのは、3党で交わした政策合意の履行だ。年収103万円の壁の見直しと、ガソリン税の暫定税率の廃止――物価と賃金のはざまで暮らしの実感に直結する二つの論点である。政策を先に動かすという合図がにじむ。
他方で、連立の可否を巡る臆測には「連立の話は一切ない」と火消しを図った。誰に有利なのか、という問いが飛ぶ場面だが、あえて距離を取りながら合意履行を迫る戦術は、カードを政策に一本化する意思表示とみられる。政局より政策を優先する姿勢を示しつつ、事の成否を与党側に委ねた構図が浮かぶ。
止まった時計と3党合意の重み
3党合意は、2024年の経済対策協議で「103万円の壁」引き上げやガソリン減税の検討を明記したことに端を発する。その後の議論では、税制改正の場で具体化を詰め、ガソリン税については「当分の間の暫定税率の廃止」を含め検討する文言が出た。与党が歩み寄った経緯があり、国民民主が政策実現を迫る根拠となっている。
年明けには、国民民主の玉木雄一郎代表が「103万円の壁は178万円を目指して今年から引き上げ、ガソリンの暫定税率は廃止する。この二つの約束を守れば予算案に賛成する」との趣旨を示し、合意履行と国会対応を事実上リンクさせた経緯がある。政治が約束を守るかどうかが、暮らしに直結する局面だったといえる。
しかし、その後も制度設計はなお道半ばだ。壁の見直しは税制・社会保険の接合部に踏み込むため、誰をどう支えるかの線引きが難しい。ガソリンの暫定税率は地域の道路財源とも絡む。合意は羅針盤でありながら、針をどの方角に固定するかは政治判断に委ねられてきた。ここで榛葉氏が改めて履行を迫った意味は重い。
連立否定の真意と、秋の政局の行方
榛葉氏が「連立は一切ない」と明言した背景には、政策合意の実装こそが最優先という計算があるとみられる。3党合意を巡っては、与党側の譲歩で経済対策に合意が形成された時期があり、当時「部分連合」の色合いが指摘された。だが今回は、枠組み論に足を取られず、あくまで約束の履行と生活者の利益に焦点を絞る構えだ。
そもそも103万円の壁は、学生アルバイトやパートの就労調整を生み、親世代の扶養や税負担にも影響してきた。壁が動けばシフトの組み方や家計の見通しが変わる。ガソリンの暫定税率も、通勤や物流に波及する価格そのものに効く。誰に有利なのかという視点で見れば、家計と中小事業者の双方に直撃するテーマが並ぶ。
与党は新体制の助走段階にあり、公明党内には慎重論も漂うとされる。国会開会が迫るなかで、3党合意をどこまで実装するかは早晩の判断となるはずだ。合意の履行が進めば、補正や本予算の行方に連鎖し、停滞すれば野党間の距離感が再び揺れる。偶然ではなく必然として、7日の発言は秋の針路を試すリトマス紙となった。