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官邸で開かれた与党幹部への説明会では、担当閣僚が分厚い資料を机に置き、経済対策の全体像を語り始めた。焦点は、所得税の「年収の壁」見直しやガソリン税の暫定税率廃止を含む大型減税だ。政府はこれらを柱とする総合経済対策を、2025年11月21日に閣議決定する準備を進めている。規模は減税効果も含めておよそ21兆3000億円と見込まれ、コロナ禍後で最大の対策になる。一方で、財政拡張を警戒する投資家の間では、国債利回りの上昇や円安進行がすでに意識され始めている。暫定税率は、本来の税率に上乗せされた部分を指す。
21兆円超の経済対策、その中身は
政府がまとめる総合経済対策は、減税と歳出を合わせた国費ベースで約21兆3000億円となる見通しだ。裏付けとなる2025年度補正予算の一般会計歳出は約17兆7000億円とされ、昨年度の13兆9000億円を上回る規模になる。地方の支出や民間投資まで含めた事業規模は、およそ42兆8000億円に達すると見積もられている。
国費の内訳では、物価高対策に約11兆7000億円、危機管理投資に約7兆2000億円、防衛や外交の強化に約1兆7000億円、予備費に約7000億円が充てられる方向だ。所得税の「年収の壁」を引き上げ、働き方によって手取りが減りにくくする措置も盛り込まれる。「年収の壁」とは、一定の年収を超えると社会保険料負担が増え、手取りが逆に減ってしまうと指摘されてきた仕組みだ。さらに、ガソリン税の暫定税率廃止による燃料価格の下押しや、電気・ガス料金の補助拡大など、与党内で要望の強かった支援も含まれる見通しである。
市場が映す「積極財政」への視線
こうした大規模な財政出動を巡り、市場はすでに反応を示している。2025年11月19日のニューヨーク外国為替市場では、日本の財政悪化への懸念などから円売りが進み、一時は1ドル=157円台まで円安が進行した。日本国債市場でも売りが強まり、10年物国債の利回りは一時1.8%前後と、2008年以来となる水準を付けたと報じられている。
高市政権は「責任ある積極財政」を掲げ、景気下支えと成長投資を同時に進める考えを示してきた。一方で、政府債務の国内総生産比を引き下げ、市場の信認を保つと説明しており、追加の国債発行額が増えるなかで政策運営の難しさも増している。2024年の経済対策は事業規模39兆円、補正予算の歳出13兆9000億円だったことを踏まえると、今回は一段と踏み込んだ内容だ。ガソリン税の暫定税率廃止などは家計には追い風となるが、その負担をどう将来世代と分かち合うかが静かに問われ始めている。
政権の掲げる旗と市場が映す不安、その間を埋めるように、膨らんだ数字の先にある暮らしの変化を見つめる局面に入っている。
