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木原稔官房長官が12日午前の会見で、非核三原則を政策上の方針として堅持すると明言した。安全保障関連3文書の改定議論が加速する中、政府の「核に関する基軸」を先に固定した格好だ。あわせて、ロシアが日本人30人の入国を禁止した対抗措置に抗議したと述べ、対露対応では国際社会との連携を続ける姿勢を示した。改定の具体像は「予断を控える」と述べ、議論の枠と順序を整える構図が見えてきた。
官房長官が示した「堅持」の重み
会見で木原氏は、非核三原則(持たず・作らず・持ち込ませず)を政策上の方針として堅持していると語った。安全保障関連3文書の改定については、具体的内容はこれから検討し、現時点での予断は差し控えると述べた。方針の「継承」を先に確認し、文言や措置の「更新」は今後に委ねる並列の出し方だ。
前日、国会審議で高市早苗首相の答弁が非核三原則の扱いを明確にしなかったと伝えられた経緯がある。官房長官の発言は、政府内の基調を「堅持」でそろえ、改定作業の土台を整える意味を持つ。核政策の根幹を巡る不確実性を減らすことで、3文書の書きぶりをめぐる議論を装備・体制・運用の具体に集中させる狙いがうかがえる。
ここで言う3文書は、国家安全保障戦略・防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画の総称である。戦略の方向性から部隊・装備の配分、整備スケジュールまでを貫く設計図で、表現の差異が予算や部隊編成に直結する。非核三原則の「堅持」を明確にしたうえで、抑止力の実効性や経済安全保障、サイバー・宇宙といった新領域への資源配分をどう書くかが焦点になる。
揺れる外交圧力と国内議論
同じ会見で木原氏は、ロシアが日本政府の対ロ制裁への対抗として、日本人30人に入国禁止を科した措置に抗議したと明らかにした。対象には外務報道官らが含まれ、期間の区切りは示されていないという。政府は国際社会との連携を続ける姿勢を示しつつ、外交ルートで意思疎通も図る考えを説明した。
制裁の応酬は、軍事・エネルギー・情報の各領域で日本の意思を試す外圧として作用する。非核三原則の堅持をあらためて示すことは、核不拡散体制を支える立場の確認であり、同盟国・パートナーに向けた安定シグナルにもなる。一方で、通常戦力の強化や反撃能力の運用像など、核以外の抑止パッケージにどこまで厚みを持たせるかという国内の実務課題は残る。
外圧と内政の節目が重なる局面では、言葉の「継続性」と政策の「実効性」をどう両立させるかが鍵になる。今回の「堅持」は前者への明確な回答であり、後者はこれからの条文や概算要求、運用態勢の設計で示される。安全保障の信頼は、一貫した原則と検証可能な積み上げの両方で形づくられるからだ。
政策の焦点は「継承と更新」
非核三原則の堅持が明確になったことで、改定作業の焦点は通常戦力の配備や運用、経済安保や技術基盤の強靱化へと移る。サイバー・宇宙・電磁波の優越確保、弾薬・部品の持続性、同盟調整の指揮統制といった項目は、文言の強弱が現場の即応性を左右する。官房長官が予断を避けたのは、与野党審議や関係省庁の折衝を見据え、選択肢を狭めないためと受け止められる。
一方で、原則の継承だけでは抑止の総合力は担保できない。訓練の質量や補給網の冗長化、重要インフラの防護など「静かな地力」を積む政策が試される。外交面では制裁と対話を併走させる難所が続くが、非核の基軸を据えた上で実務の更新を積み重ねられるかが評価軸になる。記録は、今も静かに積み重なっている。