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木原稔官房長官は27日午後の記者会見で、トランプ米大統領が日本の首相に台湾問題で中国を挑発しないよう電話で助言したとする米紙報道を「そのような事実はない」と否定し、発行元に抗議したと明らかにした。台湾有事は日本の存立危機事態になり得るとした首相の国会答弁を巡っては中国が反発しており、発言の真意や首脳会談の中身をどう説明するかが、会見場に詰めかけた記者たちの焦点となっている。
首相発言と米報道、外交の現場で広がる波紋
発端となったのは、首相が国会で「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」と述べた答弁である。中国政府は内政干渉だと強く抗議し、日本政府は従来と同じく台湾問題の平和的解決を求める立場に変わりはないと説明してきた。それでも、台湾情勢をめぐる緊張の高まりを背景に、ひとつの言葉が周辺国との関係を左右しかねない現実が改めて浮き彫りになった。
こうした中で、25日に行われた日米首脳の電話会談をめぐり、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが新たな火種を投じた。同紙は複数の当局者の話として、トランプ大統領が会談の場で、日本の首相に台湾の主権を巡る発言のトーンを和らげ、中国を刺激しないよう求めたと報じたのである。内政と安全保障が絡む微妙なテーマだけに、この報道は国内外で大きな注目を集めた。
これに対し、木原官房長官は27日の会見で「そのような事実はない」と明言し、記事に対して外交ルートで抗議したことを公表した。一方で、記事の撤回までは求めていないとし、首脳同士のやり取りの詳細は本来明らかにできないと説明する。現場では、同盟国との信頼を守りつつ、国民にも分かる形で情報を出すという難しい綱渡りが続いている。
日米・日中関係で問われる「発言のトーン」
木原氏は先週、台湾有事を巡る首相答弁について、過去の政府説明とはやや異なる受け止め方をされかねない発言だったと認めつつ、政府の立場自体は変わっていないと強調した。そのうえで、今後は誤解を招かないよう極めて慎重に対応する必要があるとの考えを示している。発言の内容だけでなく、語り口や強さそのものが外交カードとして問われている格好だ。
日本政府はこれまでも、中国側から抗議を受けるたびに、台湾問題は対話による平和的解決を期待するという従来方針を説明してきた。他方で、台湾海峡の軍事的緊張が高まるなか、日本国内では抑止力を明確に示すべきだとの世論も根強い。中国を過度に刺激せずに安全保障上の懸念を伝える、そのバランスの取り方が一段と難しくなっている。
首脳会談に関する報道では、各国メディアが匿名の当局者の証言をもとに内容を伝える場面が増えている。いったん記事になれば、日本政府は沈黙を貫くか、事実関係を否定するかという難しい選択を迫られ、機密性の高いやり取りも政治論争の材料になりやすい。外交の現場は、情報統制と透明性要求の板挟みになっている。
今回、日本政府は米紙に事実誤認だと抗議しつつ、記事の取り下げまでは求めなかった。首脳会談の「中身」をどこまで明らかにし、どこから先を外交上の秘密として守るべきかという線引きは容易ではない。説明責任と同盟国との信頼の両立をどう図るかという課題が、静かに突き付けられている。
