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ガラス越しに光がこぼれる党本部のロビーに、電話の着信音が重なる。自民党総裁選は4日に投開票が行われ、新しい総裁が選出される見通しだ。3日までの取材では、党員票の地図が静かに塗り替わりつつあり、議員票では小泉氏が一歩先行する構図が見えてきた。だが、なお態度未定の議員が残り、勝負の行方にわずかな“余白”が広がっている。
地方の風が変わる――17都道府県で高市氏が先行
現時点で確認されている範囲では、FNNが全国の地方議員や支援組織への取材を積み上げ、党員票の傾向を可視化した。結果として、高市前経済安全保障担当相が地元の奈良を含む関西圏で厚みを持ち、東京や千葉など関東の一部でも支持を広げ、合計17都道府県で他候補をリードしていると伝えた。党員票は地域の暮らしに直結する物価や生活感覚を反映しやすく、生活防衛の語り口が沁みたとみられる。
小泉農水相は地元・神奈川をはじめ15県で優勢という。若い支持層の動員力や地方組織への浸透が視界に入る一方で、高市氏との競り合いが6県に及ぶとの報もある。林官房長官は山口など4県で先行しているが、全国的には伸び悩む。茂木前幹事長と小林元経済安保相は苦戦が伝わる。各地の票読みは日々揺れ動き、誰に有利な潮目なのかを測りかねる空気が地方組織に漂う。
国会議員票の重さ――小泉氏が80人超で先頭集団を牽引
FNNの最新整理では、小泉氏が80人を上回る議員の支持を固め、全体の先頭に立ったとされる。続いて林氏が約60人、高市氏が40人超を固める構図だ。議員票は組織運営や政権運用の現実感を重んじる傾向が強く、政策の実行力や国会対策の手際が評価軸として滲む。党員票での高市氏の先行と、議員票での小泉氏の優位が拮抗し、2位をめぐる高市氏と林氏の争いが浮かぶ。
一方で、態度を明らかにしていない議員が50人ほど残る見立てがある。終盤の電話や個別面談、派閥横断の会合が重なり、流動性はむしろ増していると映る。仮に決選投票にもつれれば、地方票の空気と議員票の“現場感”の再配分が生じる。だれが相手なら勝てるのか、誰と組めば政権運営は安定するのか――駆け引きは4日の投票直前まで続く公算が大きい。
投開票前夜の焦点――「合意」と「納得」をどう両立させるか
投開票は4日に行われる。総裁選は、国会議員票と全国の党員・党友票の合算で新総裁を選ぶ仕組みであり、地方の声と永田町の判断が同じテーブルに並ぶのが特徴だ。今回、関西で強い高市氏、議員票で先行する小泉氏、着実に裾野を広げたい林氏という三者の力学が、地方組織の期待と国会内の算盤の間で反響し合う。誰がトップに立つにせよ、発足直後の党運営に“納得の物語”を用意できるかが問われる。
4日以降の政権課題は積み残しが多い。物価高対策、賃上げの持続、社会保障の再設計、外交の現実路線――いずれも「スピードと説明」が鍵になる。地方で拾われた生活感覚を予算や制度にどう落とし込むのか。議員票で示された政権運営の実務力と、党員票の生活防衛の実感をどう橋渡しするのか。ここで綻べば、支持の回復は遠のく。合意と納得の二兎を追う覚悟が、新総裁の最初の試金石になる。
