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デジタル庁は、自治体の基幹業務システムを全国で同じ仕様にそろえる「標準化」について、全自治体の41.6%に当たる743自治体で、当初目標の2025年度末（2026年3月末）までに完了しない見通しだと説明した。主因は技術者不足で、住民サービスの裏側で調整コストが積み上がっている。
期限遅れが示す、窓口と現場の綱渡り
標準化が遅れると、自治体は旧システムを維持しつつ新仕様への切り替え準備も進める二重運用に近い状態になりやすい。住民から見れば窓口やオンライン手続きが急に止まるわけではないが、改修の順番待ちが長引けば、制度改正への追随や障害対応にしわ寄せが出る。期限は同じでも、現場が抱える不確実性は自治体ごとに濃淡がある。
遅れの背景には、発注が特定の時期に集中しやすい構造がある。デイリースポーツ onlineは、2025年7月末時点で「間に合わない」見通しの自治体が643あったと伝えており、そこからさらに遅延が広がった構図になる。システムを作る側の要員不足が続けば、自治体がどれだけ準備しても、最後の結合試験や移行作業で“渋滞”が起きやすい。
延長と支援の設計、2030までの現実
標準化は、住民記録や税など20業務のシステムを国の標準仕様に合わせる取り組みで、対象は全国1788自治体の計34592システムとされる。ASCII.jpは、期限内移行が難しいものを「特定移行支援システム」と位置付け、2025年7月時点で3770システムが該当見込みだと報じた。「特定移行支援システム」は、期限を超える前提で国が集中的に支援する対象、という整理である。
一方で、期限を延ばすだけでは“いつまでに何を終えるか”がぼやける。デジタル庁は関係省庁会議で、標準化とガバメントクラウド移行後の運用経費への対策も議題にしている。ガバメントクラウドは、国が整備する共通のクラウド利用基盤で、移行後は運用の在り方そのものが変わる。遅れが常態化する局面では、自治体側の優先順位付けと、事業者側の供給力をどう増やすか、そして費用負担を誰が引き受けるのかが、住民サービスの安定性を左右する論点になりそうだ。
