マクロン氏が国賓訪中　経済・安保の懸念抱え4度目の首脳会談へ

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2025.12.02

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フランスのマクロン大統領が12月3〜5日に国賓として中国を訪れ、習近平国家主席と会談する。今回で4度目の国賓訪中となり、鋼鉄や電気自動車（EV）などをめぐる経済・安全保障上の懸念をぶつけつつ、中国の先端技術へのアクセス拡大も狙う。欧州は対中依存と対立をどう両立させるのか――その綱渡りの一端が、この3日間に映し出される。

EV競争の最前線で揺れる欧州の現場

欧州ではここ数年、中国メーカー製のEVが急速に存在感を高めている。中国製バッテリーEVのEU市場シェアは2020年に数％台だったが、23年末には4分の1程度まで伸びたとされ、欧州委員会は「脅威となる水準」と警戒を強めた。

こうした流れを受け、EUは24年以降、中国製EVに最大3割超の追加関税を課す方針を打ち出した。補助金で価格が押し下げられた車が欧州メーカーの雇用と投資を奪うとの判断からだが、一方でEV価格の上昇は家計の負担増にもつながる。

マクロン氏は、産業を守る「盾」だけでなく、中国側の技術や部材へのアクセスを確保することで、欧州メーカーが競争力を保ちながらグリーン転換を進められる道を探ろうとしている。訪中ではEVやレアアースなど戦略物資の供給を議題にしつつ、欧州企業にとっての投資環境の改善も求める構えだ。

マクロンが抱える対中外交のジレンマ

今回の訪中は、24年に行われた習主席のフランス国賓訪問への「答礼」という側面もある。両国は昨年、国交樹立60周年を祝ったばかりで、相互訪問を重ねることで戦略的パートナーシップを維持したい思惑がある。

だが、フランスを含む欧州は、中国経済への依存と安全保障上の懸念との板挟みだ。欧州委員会は中国との関係を「転換点」にあると表現し、重要技術やサプライチェーンの過度な依存を減らす経済安全保障戦略の策定を進めている。

マクロン氏自身も、米中どちらにも過度に依存しない「戦略的自律」を掲げてきたが、23年の台湾情勢をめぐる発言が対米関係の不信を招いた経緯がある。25年には欧州が米中双方への「二重の依存」を減らすべきだと警告しており、今回の訪中では対話を維持しつつも、過度な譲歩との批判を避ける微妙なメッセージ発信が求められる。