ロシア、無人機・ミサイル600超一斉攻撃、キーウで犠牲者

2025.09.29

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2025年9月28日未明（日本時間）、ロシアがウクライナ各地に大規模な無人機とミサイルの一斉攻撃を仕掛けた。規模は600超に達したとの報があり、首都キーウでは犠牲者が出た。国連総会の会期終盤と重なるタイミングで、戦況は再び空からの圧力が強まった格好だ。

夜明け前の一斉攻撃、広がる空襲警報

深夜から明け方にかけ、ウクライナ全土で空襲警報のサイレンが断続的に鳴り続けた。ロシアは攻撃用無人機を主軸に、巡航ミサイルや弾道ミサイルを組み合わせる定番の戦術を繰り返した。大量の囮機と攻撃機を混在させ、防空網に過負荷をかける狙いが透ける。西部ルーツィクやリヴィウ、首都圏の軌道上でも迎撃の軌跡が夜空に走り、市街地では落下物による火災も発生した。ウクライナ空軍は、撃墜と電子戦による「抑制」を織り交ぜながら迎撃網を展開し、巡航ミサイルの相当数を無力化したと説明している。一晩で500〜600規模の飛翔体が投入される事態は、今夏以降の「量で押し切る」傾向の延長線上にある。防空部隊は可動式の迎撃班を道路や田畑へ機動的に展開し、都市部ではメトロ駅が臨時の避難所になった。住民たちは暗闇の通路に腰を下ろし、スマートフォンの画面越しに警報アプリの解除を待った。

キーウと南部で拡大する被害、住民生活の足元を揺らす

今回の攻撃でキーウでは住宅やインフラが被災し、死者が確認された。市内各所では窓ガラスの破損や火災が相次ぎ、救助隊が夜明けとともにがれきの隙間を探る。郊外ではドローン残骸の落下が複数地点で報告され、駐車場の車列が炎上した。南部のザポリージャでも負傷者が出て病院へ搬送され、工業施設の屋根が大穴を開けたまま黒煙を吐いた。攻撃の矛先は必ずしも軍事目標に限定されず、送電設備や交通ハブ、倉庫群といった都市の「生活回路」を狙う傾向が強い。学校や医療機関の休止が余儀なくされ、通勤時間帯の公共交通は遅延が常態化した。ウクライナ内務当局は、住民に対し夜間の外出自粛と避難所ルートの再確認を呼びかける。現時点で確認される範囲では、人的被害の集計はなお流動的で、救助と調査の進展とともに修正が続く見通しだ。

防空の「穴」を埋める時間、外交の駆け引きも同時進行

空からの圧力が増す一方で、防空面の「上積み」も進む。ゼレンスキー大統領は、イスラエルからパトリオット地対空ミサイルの運用体制を整え、今後数カ月で追加のシステムが欧州から到着する見込みだと語った。迎撃弾の在庫やレーダー網の隙間は依然課題だが、可動班と電子戦、迎撃機の連携で層を重ねる布陣を急ぐ。米国訪問での武器調達や無人機分野の協力も詰めの段階に入り、国内生産の拡大と併せて「消耗戦の持久力」を補う狙いが色濃い。一方、ニューヨークでの国連総会では、ロシアのラブロフ外相が欧米の関与を強く批判し、モスクワの立場を繰り返した。総会の討議が続く最中に重ねられた大規模攻撃は、外交舞台と戦場が同じ時間軸で絡み合う現実を改めて示したと言える。

“最大級”の意味を測る、続く大規模攻撃の連鎖

この一年、ロシアは記録的な規模の一斉攻撃を繰り返してきた。夏の盛りには西部を含む広範囲が空襲にさらされ、ある夜は無人機とミサイルの総数が500超に達した。都市の防空は形を保ったが、落下物や爆風が市街に爪痕を残し、電力や物流の被害が翌日まで尾を引いた。

その後の週末には600規模の弾薬が投下された事例も確認され、迎撃で多数を潰しながらも一部の弾道弾や無人機が着弾した。さらにさかのぼれば、7月には戦争開始後で最大級とされる一夜の攻撃が報告され、ウクライナ空軍は囮を含む前例のない飛翔体の波に直面した。こうした連鎖の中で、今回の未明攻撃も“最大級”の系譜に位置づけられ、数で押し切ろうとする戦術が常態化していることを裏付ける。防空の層を厚くすることに加え、送電や貯蔵、交通など狙われやすい結節点の冗長化が、冬季を前に急務となる。