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米国務省が在外公館に対し、対外援助の資金が多様性・公平性・包括性(DEI)を推進する団体に渡らないよう、拠出案件を総点検するよう求めた。現地時間29日(日本時間30日)に伝えられ、トランプ政権が国内で進める「反DEI」路線を海外支援の現場まで広げる動きとして波紋を呼びそうだ。対外援助を受けるNGOや国際機関、契約事業者は、事業の目的や研修内容まで含めて適合性を問われる局面に入る。
在外公館へ点検指示 援助の審査を再設計
共同通信は29日、米国務省が世界各地の在外公館に対し、DEIを推進する団体への資金提供を禁じるため、全ての対外援助を見直すよう指示したと伝えた。対外援助は国務省とUSAID(米国際開発庁)が主要な執行主体で、医療・人道から民主化支援まで幅が広い。
今回の焦点は「誰に、どの条件で資金を出すか」の再定義にある。DEIは組織運営や雇用、研修、啓発活動などに入り込みやすく、個別のプロジェクトだけでなく、受給団体の横断的な活動が審査対象になり得る。現場では、契約条項や報告義務の強化を通じて、資金拠出の可否がより細かく管理される可能性がある。
米国務省は近年、対外援助の停止・再評価を繰り返してきた。法律事務所クロウェル・アンド・モーリングは、国務省が2025年1月24日に在外公館向け通達で対外援助の新規拠出を一時停止し、包括的な見直しを進める枠組みを示したと解説している。
「メキシコシティ」拡張 中絶からDEI・性別へ
今回の見直しは、中絶支援団体を対象にしてきた「メキシコシティ政策(グローバル・ギャグ・ルール)」の拡張と連動している。AP通信によると、政権は中絶関連サービスに加え、DEIや「ジェンダー・アイデンティティ」を推進する団体・機関にも適用を広げ、対外援助300億ドル(約4.6兆円)超に影響し得るという。
アクシオスは、バンス副大統領が対外援助の条件を強化する方針を示し、対象が「中絶」から「ジェンダーや多様性プログラム」へ広がっていると伝えた。海外メディアが注目するのは、資金規模だけでなく、保健医療や教育、人権など複数分野の事業が一括で再編され、受給側の事業設計そのものに影響が出る点である。
対外援助は、外交・安全保障の手段であると同時に、国際的な公共財の供給を担う仕組みでもある。援助の条件に国内政治の価値判断が強く組み込まれると、受給団体は事業効果よりも適合性確認にコストを割かざるを得ず、支援の継続性も揺らぐ。今後は、例外規定の範囲、審査基準の透明性、実務上の停止命令の運用が、国際協力の実効性を左右する焦点となる。
参考・出典
- 米、海外でも多様性援助見直し 在外公館に指示か | 共同通信 ニュース | 沖縄タイムス+プラス
- Trump's foreign aid ban will target abortion, DEI and gender identity | AP News
- Trump admin to expand foreign aid abortion ban to gender identity and DEI (Axios)
- Federal Register, Volume 91 Issue 17 (Tuesday, January 27, 2026)
- State Department Pauses Almost All Foreign Assistance Funding | Crowell & Moring LLP
