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台湾の行政トップが、日本の首相の一言に公然と感情を重ねた。12月5日、卓栄泰行政院長は、高市早苗首相が先月、強い圧力の中でも台湾海峡の平和と安定の重要性を語ったことについて「非常に心を動かされた」と述べた。緊張が続く地域で、このやり取りは日台双方にどんな意味を持つのか。
圧力下の発言をどう受け止めるか
卓栄泰行政院長は5日、台北市の行政院庁舎で日本台湾交流協会の隅修三会長らと会談し、その場で高市早苗首相の先月の発言に触れ、「非常に心を動かされた」との趣旨を語った。中央社フォーカス台湾によれば、高市氏が強い圧力の中でも台湾海峡の平和や正義を訴え続けていることに感謝を示し、日本のアイドルや歌手の台湾訪問を歓迎する考えも伝えたという。ロイターも、高市氏の最近の言葉を卓氏が「正義と平和の象徴」と評価したと伝えている。
その「圧力」は、中国からの激しい反発として具体化している。Bloombergなどの報道では、台湾有事が日本の存立危機事態になり得るとの国会答弁に対し、中国政府や国営メディアが強く非難したと伝えている。中央社は、日本人歌手の公演中止や中国からの旅行客減少といった対抗措置も取り上げ、外交発言が市民の移動や娯楽の選択にも影を落としている現実を映し出した。
台湾トップの謝意が映す日台関係の行方
卓行政院長は同じ会談で、台日経済貿易会議で結ばれたデジタル貿易協定や税関協力の覚書にも言及し、経済や制度面の連携を深めることで台湾海峡の平和と安定を共に守りたいと訴えたと、台湾行政院の公表資料は伝える。安全保障だけでなく、個人情報保護や通関の円滑化といった地道な協力もまた、緊張緩和の土台だと位置付けている。
Newsweek日本版や中央社の過去の記事では、卓氏が中国への「復帰」は台湾人の選択肢ではないと述べ、自らを強くすることで平和を守るとの考えを繰り返し示してきたと紹介されている。そうした立場から日本の首相の発言をあえて称賛した今回のメッセージは、価値観を同じくする相手と連携を深めたいという期待と同時に、日台双方で防衛負担やリスクをどう分かち合うのかという今後の課題も静かに浮かび上がらせている。
