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固定金利市場を提供するTerm Financeの自動運用型商品「Vault」で2026年8月23日(UTC)、ガバナンス機構を悪用した資産流出が発生した。運営元のTerm Labsは事案を認知し、調査を進めている。PeckShieldとCertiKは流出額を約850万ドルと推計した。
約2843ETHと約168万USDCが流出
PeckShieldによると、約2843ETH(約690万ドル相当)と約168万USDC(約168万ドル相当)が流出した。USDCはその後、約168万DAIに交換されたとしている。
The Blockは被害額を約855万ドルとし、攻撃前に約1245万ドルだったStrategy Vault全体の預かり資産の約68%に相当すると報じた。ただし、これらはセキュリティ企業などによる推計で、Term Labsが確定した被害額ではない。同社は影響を受けたVaultの全容も公表していない。
ガバナンス提案の実行時にタイムロックをゼロへ変更
Strategy VaultはYearn V3を基盤とし、Termの固定金利市場と変動金利プロトコルに資金を配分する商品だ。管理上の変更を即座に実行できないよう、ガバナンス取引には7日間のタイムロックが設けられ、流動性提供者(LP)はその間に取引を拒否できる仕組みだった。
DefiPrimeのオンチェーン分析によると、今回のガバナンス提案は拒否されないまま実行され、その処理の中でタイムロックの待機時間がゼロに変更された。その後、ETH Meta Vaultと複数のUSDC Vaultから資産が移転した。
今回のように、プロトコルを管理するガバナンス上の権限や手続きを資産移転に利用する事案は「ガバナンスエクスプロイト」と呼ばれる。現時点では、スマートコントラクト自体のコード脆弱性が原因だったとは確認されていない。
問題となっているのは、本来、不正な変更を防ぐための7日間の待機期間やLPの拒否権が、結果として資産流出を阻止できなかった点だ。Term Labsは、具体的にどの権限が悪用されたのかや、提案が拒否されなかった理由を明らかにしていない。
Yearnは、標準的なYearn Vaultには影響がないとの認識を示している。Term Labsは事案を調査中で、調査後に詳細を共有するとしている。
