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政府は2025年12月18日、東京都庁で大規模なインフラ障害を想定した机上演習を初めて実施した。関係省庁や東京都、電気やガスなどのインフラ事業者から計約300人が参加し、首都圏で原因不明の大規模停電が起きて交通と通信が同時に止まる事態を置いた。国内外で障害が相次ぐなか、発生直後から数日間の初動を官民で整理し直す狙いがある。
「止まった後」の数日間をどう回すか
演習は、停電が単体のトラブルで終わらず、鉄道や道路、通信など別の機能停止へ連鎖する展開を想定した。内閣官房や東京都によると、初期の情報収集、人命救助、避難者の生活支援といった発生後数日間の対応を確認したという。机上演習は、ひとことで言うと現場に出る前に会議室で手順と判断の順番を確かめる訓練だ。
一方で、詳細は非公開とされた。何が弱点になり得るかを外部に示し過ぎない配慮があるとみられるが、都民の関心は「その日、暮らしは何で詰まるのか」に向かう。停電でエレベーターや給水が止まり、通信が不安定になれば、救助要請や避難所運営も遅れやすい。初動の論点をあらかじめ共通言語化すること自体が、危機時の時間を稼ぐ。
官民の境界線を引き直す試み
東京都の公表資料では、内閣官房と東京都が主催し、警察、消防に加え、電力、ガス、石油、医療、通信、水道、金融、鉄道、道路など幅広い分野が参加対象に含まれる。障害は1社の問題に見えても、復旧の順番や代替手段の有無で影響の濃淡が変わる。東京都は、2025年7月にまとめられたガイダンスを踏まえて連携強化を図るとしている。
残る課題は「役割分担の図」を紙の上から日常に落とし込めるかだ。サイバー攻撃やシステム障害のように原因が見えにくいケースでは、情報の真偽確認と発信の責任が揺らぎやすい。大規模停電を想定した今回の擦り合わせが、自治体の窓口、事業者のコールセンター、医療や交通の現場まで一貫して機能するかは、次の訓練設計と継続的な更新にかかっている。
