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米中の空気が揺れるなか、トランプ米大統領が中国の合成麻薬フェンタニル対策の実効性を条件に、中国製品への追加関税の段階的な取り下げに言及した。大統領専用機内でのぶら下がりで、成果が検証できれば残る負担も外す考えを示し、通商交渉の地平に新たな余白をつくった。
方針の骨子
大統領は、前駆体の流出抑止に向けた中国側の取り締まりが「本気で進んでいる」との認識を示し、検証が伴えば追加関税の一部を下げ、最終的には全廃も視野に入れると述べた。発言は習近平国家主席との会談を踏まえたもので、危機対応と通商を結び付ける方式を改めて打ち出した。発信の場は機上の短いやり取りで、具体手順は今後の協議に委ねられる。
日時・数字の整理: 発言は2025年10月28日に機上で行われ、報道は10月29日に配信。米国は年初に中国製品に20%の追加関税を課し、今回はそれを10%へ引き下げる用意に言及。対策の成果が確認されれば、残りの10%も撤廃する意向を示した。米国内の過剰摂取関連死は累計約45万件とされた。
交渉の位置づけ
現時点で確認されている範囲では、この提案は首脳会談を前にしたシグナルであり、停戦的な通商環境の延命を図りつつ、薬物流通の抑制という具体的成果を条件に置く構図だ。米側は検証を重視し、中国側は「政治的な圧力だ」との不満を抱えながらも協力の余地をにじませている。関税と治安協力を接続する駆け引きが続く。
中国外務省は管理体制の改善を主張し、米国の関税を交渉材料化する姿勢を批判してきた。ただ、今回は両国の温度差がやや縮み、共同での取り締まりや情報共有の枠組みづくりが再び俎上に乗った格好である。今後は検証の方法、対象品目、解除の手順が焦点となる。関係筋の見立てでは、実務局間の追跡と港湾・物流での封じ込めが鍵となる。
