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川風が堤防をなでるたび、南部の町では人が荷物を軽くして歩を速める。国連が委任したウクライナに関する独立国際調査委員会は2025年10月27日、ロシアが短距離ドローン攻撃を継続し、市民を自治体から避難させた行為が人道に対する罪に当たると発表した。占領下ザポリージャからの民間人強制移送は戦争犯罪に当たると判断され、戦場の技術ではなく責任の所在が問われている。
ドローンが暮らしを追い詰める
委員会は5月時点で、ヘルソン州ドニプロ川右岸の約100キロに及ぶ範囲で、市民を狙った致死的ドローン攻撃を確認していた。そこから5か月を経た今回、結論はヘルソン、ドニプロペトロウシク、ミコライウのウクライナ支配地域に広がる約300キロへと拡大した。住宅や通りを歩く人、バスや救急車、人道支援の配布拠点、送電網や発電設備が繰り返し狙われ、日常は細かく断たれていると示した。
攻撃は前線から離れた街にも及び、警報のない低高度の機体が影のように迫る。委員会は、こうした作戦が「住民を追い出すための調整された政策」の一部であり、避難の強要という人道に対する罪に該当すると述べた。数千人が家を離れざるを得なかった実態が浮かび、生活圏から人の気配が消える光景が広がっている。
現時点で確認されている範囲では、国連人権高等弁務官事務所の監視任務も短距離ドローン被害の深刻化を記録している。2022年2月から2025年4月までに少なくとも395人が死亡、2,635人が負傷し、被害の大半はウクライナ支配地域でのロシア側攻撃によると報告された。前線近傍の移動や公共交通は細り、医療・支援活動にも影が差している。
強制移送と占領地の現実
委員会は、ザポリージャ地域の占領地からの民間人の強制移送が戦争犯罪に当たると判断した。占領当局が住民登録や市民権取得を迫り、社会保障や医療アクセスを縛る政策が退避や移動の選択を狭めている実態は、国連の関連報告でも繰り返し指摘されてきた。瞬間的な爆発だけでなく、制度の網によっても人は居住地から押し出されていると映る。
委員会はまた、ロシアが「殺人という人道に対する罪」を広範な地域で犯したと述べ、市民や民間施設を意図的に攻撃し、非人道的な扱いを加える戦争犯罪の疑いを列挙した。電力施設や病院への打撃が冬を前に生活基盤を揺らし、避難の決断を後押しする構図が広がっている。攻撃の選択が生活の細部をむしばみ、地域社会の空洞化を促しているとみられる。
一方、国連機関の現地発表では、無人機や長距離兵器による攻撃が都市部の被害を押し上げ、子どもを含む民間人の犠牲が増えているとの警告が相次いだ。日常が攻撃の前提に組み込まれるほど、避難は選択ではなく強いられた移動へと変質する。委員会の判断は、その実態を法的評価として可視化したと言える。
証拠を積む声、応じない当局
今回の調査で委員会は、226人の被害者や目撃者らに聞き取りを行い、500本以上の動画を精査し、そのうち約半数を地理的に特定したという。現場の破片、弾痕の向き、飛来音の証言などを突き合わせ、作戦の意図と効果を読み解く作業が積み上がっている。個々の断片が重なり、攻撃の全体像が立ち上がる。
しかしロシア当局は委員会を認めず、情報提供や会合の要請にも応じていないとされる。反論や釈明の不在は国際法上の評価を厳しくし、説明責任の空白が広がる。委員会は責任の所在を明らかにするため、捜査と司法の回路に証拠を橋渡しする役割を担う。継続する攻撃の停止と、被害者の回復に資する実効的な一歩が求められている。
