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10月28日、日米両政府は先端技術分野での協力をうたう「技術繁栄ディール」に関する協力覚書に署名した。AIや量子、核融合、宇宙、Beyond 5G/6Gなど7分野での連携をまとめ、日米の科学技術基盤と安全保障の強化を目指す。一方で、G7が広島AIプロセスで築いてきた多国間のAIガバナンスと、米国主導の2国間合意をどう重ね合わせるのかという新たな課題も見えてきた。
研究現場と産業に広がる機会と縛り
協力覚書は、既存の日米科学技術協力を土台に、AI、量子技術、バイオ、宇宙、Beyond 5G/6G、研究セキュリティー、核融合などを包括的に扱う。AIでは、インフラやソフトウエア、モデルまで「スタック」全体の輸出促進と、日米の標準や評価手法をそろえることがうたわれた。量子や通信分野でも、共同研究や国際標準づくりを通じて、日米が主導権を握る構図を明確にしている。
研究セキュリティーは、日本の大学や研究機関にとって重要な論点だ。覚書は、研究不正や情報流出のリスクを見極め、大学や産業界の能力強化を図る方針を示す。共同研究や人材交流の機会が広がる一方、パートナー国や資金の出所をより厳しくチェックすることが求められ、特に中国など第三国との関係をどう整理するかが、現場の具体的な課題として突き付けられる。
産業面では、医薬品やバイオ、半導体、通信インフラのサプライチェーンを「信頼できる網」として再構築する狙いがある。核融合では、日本の実験炉JT-60SAを含む研究協力をてこに、将来の商業炉や関連部材の国際市場を日米で先取りしようとする構想も打ち出された。こうした枠組みが実際の投資や案件にどこまで結びつくかは未知数だが、日本企業にとっては、成長と規制の双方が加速する局面に入ったといえる。
2国間ディールは広島AIプロセスと共存できるか
今回の技術繁栄ディールは、米英間で先行した枠組みを日本や韓国に広げたものだ。いずれもAIや量子、6G、フュージョンなど「戦略技術」を束ね、輸出管理や標準、サプライチェーンで足並みをそろえる設計になっている。国際機関での合意形成を待たず、価値観を共有する国同士でルールとビジネスを同時に走らせるという、米国流のアプローチが際立つ。
一方、G7は2023年の広島サミット以降、広島AIプロセスを通じて、先端AIの開発主体に向けた国際原則と行動規範をまとめてきた。現在はOECDが、リスク管理や事故報告などに関する報告枠組みを整備し、各社の取り組みを比較できる仕組みづくりを進めている。日本はこの多国間プロセスで主導的な役割を担っており、日米ディールの中で掲げる「プロイノベーションなAI政策枠組み」や輸出促進策が、広島AIプロセスの安全・信頼性の原則と矛盾しない形で運用されるかが焦点になる。
今後、技術繁栄ディールが他の同盟国にも広がれば、日米はAIや量子などの国際ルールづくりで大きな影響力を持ち得る。その一方で、多国間の場で積み上げた広島AIプロセスとの距離が開けば、規制や基準が二重化し、企業の負担や国際協調のコストが増す懸念もある。日本が「イノベーションの黄金期」を現実のものとしつつ、G7全体の信頼あるAIガバナンスとどう橋渡ししていくのかが、このディールの成否を左右することになりそうだ。
参考・出典
- U.S. – Japan Technology Prosperity Deal
- 日米間の技術繁栄ディールに関する協力覚書【令和7年10月28日】 – 科学技術・イノベーション – 内閣府
- The Hiroshima AI Process: Leading the Global Challenge to Shape Inclusive Governance for Generative AI | The Government of Japan – JapanGov –
- OECD launches global framework to monitor application of G7 Hiroshima AI Code of Conduct (OECD)
