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北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は11日、ドイツ・ベルリンでの演説で、中国がロシアの戦争継続を支える「生命線」になっていると警告した。ウクライナへの侵攻を続けるロシアは、中国製の電子部品や機械に依存しており、支援が途絶えれば戦争は続けられないとの見方を示した。中国とロシアの結び付きは、欧州や日本を含む周辺国の安全保障に何を突き付けているのか。
中国製部品が支えるウクライナ戦場
ルッテ氏は、ロシア軍が使用する無人機やミサイルなどの装備に組み込まれた重要な電子部品の約8割が中国製だと指摘した。NATOが公表した演説録によれば、ウクライナのキーウやハルキウで市民が犠牲になる攻撃の中にも、中国製技術が組み込まれた兵器が含まれているとの認識を示した。
ただし、中国は公式には「致死性兵器の供与は行っていない」と主張し、輸出されるのは民生用にも軍事用にも使える汎用部品だと説明している。欧米の制裁は軍事転用が明白な装備を狙うが、民生品と境目が曖昧な電子部品は規制をすり抜けやすく、サプライチェーンの末端にいる企業や消費者からは実態が見えにくい。
その結果、遠く離れた工場で生産された半導体や工作機械が、いつの間にかロシア軍の兵器に組み込まれ、ウクライナの住宅街を破壊する構図が生まれる。ルッテ氏の発言は、中国と取引する各国企業や金融機関にも、取引先がどこまで戦争に関与しているかを問う視線を向けさせる狙いがあると受け止められている。
「次の標的」を意識するNATOと市民
同じ演説でルッテ氏は、「私たちはロシアの次の標的だ」とも述べ、ロシアが数年内にNATO加盟国を攻撃できる力を整える恐れがあると警鐘を鳴らした。ロシアは国家予算の約4割を軍事に振り向け、工作機械の7割前後を軍需生産に充てているとされ、ミサイルや攻撃用ドローンの生産も急増していると各国メディアは報じている。
こうした認識から、ルッテ氏は加盟国に対し、防衛費と軍需産業への投資を一段と拡大するよう繰り返し求めた。防衛力の底上げは市民の安全を守る手段である一方、財政負担や社会保障とのバランスをどう取るかという現実的な問いも突き付ける。欧州各国では、ロシアの脅威を前に「どこまで備えにお金を回すのか」が政治論争になりつつある。
中国が「生命線」と名指しされたことで、NATO諸国は対露制裁だけでなく対中政策でも難しい選択を迫られる。部品輸出を一段と絞ればロシアの軍備に打撃を与えられる可能性がある一方、経済関係の悪化や報復措置のリスクも高まる。ルッテ氏の警告は、市民が自らの安全と経済のどちらを優先すべきかという重い問いを、あらためて突き付けている。
