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東芝エネルギーシステムズが、安全性を高めた次世代原子力発電「革新軽水炉(iBR)」の開発を加速する。経済産業省の2025年度支援事業に採択され、安全設備の確認試験を始め、2020年代末までに主要な検証を終えて詳細設計や建設に進む構想だ。脱炭素と電力の安定供給を両立させたい日本にとって、新型炉の実用化と弱った原発サプライチェーンの立て直しを同時に進められるかが焦点となる。
避難不要を目指す新型炉、その狙い
iBRは、実績のある改良型沸騰水型原子炉(ABWR)を発展させた大規模炉で、重大事故が起きても住民の緊急避難や長期移住を不要とする水準の安全性を掲げる。二重円筒格納容器や、ポンプに頼らず炉を冷やす静的安全システムなどで放射性物質の閉じ込め機能を高め、福島第一原発事故後の教訓を反映した設計となっている。
政府は2025年の第7次エネルギー基本計画で、原子力を脱炭素電源として「最大限活用する」と位置付け、次世代革新炉の開発と設置を進める方針を明記した。老朽炉の大量リタイアが見込まれる中、iBRのような新型炉が計画通り2030年代に運転を始められるかどうかは、電気料金や温室効果ガス排出に直結し、地域住民が原発とどう向き合うかにも影響を与える。
試されるサプライチェーン、原発産業の岐路
今回の支援事業は、次世代革新炉の技術開発とあわせて、失われつつある原子力サプライチェーンを再構築することを目的に掲げる。東芝は、iBRの安全設備の評価試験に加え、重要機器の製造実証を国内サプライヤーと行い、2028年頃までに設備供給能力を確認する計画だ。新規建設の停滞で原発向け仕事が細ったメーカーにとって、再び専用設備や人材に投資するかどうかの判断を迫られる局面でもある。
資源エネルギー庁の革新炉ワーキンググループでも、各炉型の技術ロードマップと並び、国内サプライチェーンの維持が繰り返し議題に上る。政府は2030年代の次世代軽水炉の商用運転を見込むが、電力需要やコスト見通しには不確実性が大きく、市民団体からは「次世代炉は経済的に成り立たない」との批判もある。設備投資のリスクを誰がどこまで負うのか、制度設計の詰めが今後の開発スピードを左右しそうだ。
