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秋晴れの官邸前に黒塗りの車列が滑り込んだ2025年10月28日午前。訪日中のトランプ米大統領と日本側が、重要鉱物とレアアースの安定供給に向けた新たな協力枠組みに合意し、同日署名したとの情報が走った。実現すれば、電池や磁石など基盤産業の調達不安を和らげ、供給網の地図を塗り替える一歩となる。
合意の骨子と狙い
関係者の説明によれば、枠組みは政策手段と協調投資を組み合わせ、重要鉱物とレアアースの多様で流動的かつ公正な市場の形成を狙う。各国の資金支援メカニズムや、必要に応じた貿易措置、重要鉱物備蓄の活用を掲げ、先進技術と国内産業の土台となる安定供給を加速させる設計だとみられる。
実装面では、採掘から分離・精製、材料化までの全工程を対象に、日米が共同でサプライチェーンのギャップを洗い出す。永久磁石、電池、触媒、光学材料といった派生製品も視野に入れる。枠組み発効から6カ月以内に選定案件への金融支援を動かし、許認可の合理化や規制緩和で不公正な慣行への耐性を高める構えである。
体制づくりと迅速対応の要
一部報道では、米エネルギー長官と赤沢亮正経済産業相が主導する「日米重要鉱物供給安全保障迅速対応グループ」を新設すると伝える。優先鉱物や供給の脆弱性を特定し、処理済み鉱物の配送を加速する協調計画を策定する役割を担う。発掘から最終製品までの目詰まりを現場感覚で捉える狙いが浮かぶ。
資金面では、政府系金融の保証・融資、オフテイク契約の後押し、保険手当といった具体手段が想定される。日米の最終製品調達に直結する案件を絞り込み、同志国にも連携を広げる構図だ。価格の乱高下や地政学リスクに揺さぶられやすい素材分野で、機動的にリスクを相殺する枠組みと映る。
何が確定し、何が未確認か
現時点で確認されている範囲では、ホワイトハウスは2025年10月20日に豪州との間で同趣旨の枠組みを公表している。政策手段と協調投資、6カ月以内の資金手当、迅速対応グループの設置など、今回伝えられる骨子とよく重なる。また4月24日には海底鉱物資源の開発加速を指示する大統領令も出ている。
日本側の体制については、首相官邸の公的資料に石破茂首相の下で対米経済交渉や供給網強化を進め、赤澤氏が要となってきた経緯が示されている。一方、10月28日に日米が署名したとされる文書の一次資料は、現時点で公式サイトで未確認である。発表文書の公開と詳細の精査を待ちたい。
