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2025年9月23日、東京・自民党本部で総裁選の共同記者会見が開かれた。立候補した5人はいずれも消費税減税に踏み切る姿勢を強く示さなかった。暮らしの不安にどう応えるのか、選択肢はどこにあるのか？
会場に漂った慎重さ──候補者の口ぶりとその背景
党本部の一角。写真に収まる候補者たちの表情は引き締まっていたが、質疑のやり取りはどこか慎重だった。消費税減税について問われると、高市早苗氏は「前向きな考え方だったが、党内の意見集約ができなかった。もう1回党内で練り直してみることも大事かなと思う」と述べ、すぐに実行するという態度には踏み切らなかった。一方、小林鷹之氏は減税の議論自体を否定せず「そんなに簡単な話ではない」と語り、社会保障の財源という側面や実務的負担を指摘した。林芳正氏も「税と社会保障の一体の議論でできることがあればやっていきたい」と述べ、単独の減税というより議論の枠組みづくりを優先する考えを示した。こうした言葉の端々からは、即効性のある“人気取り”策よりも、財源や制度整備の現実を重視する姿勢が伝わってきた。
減税の「魅力」と「壁」——財源・実務・分配の問題
消費税を下げれば確かにレシートの数字は小さくなるかもしれない。しかし、候補者が口にしたように、税は社会保障の重要な財源であり、単純な引き下げは長期的な制度の持続性を揺るがしかねない。また、現場の事務負担も無視できない。実際に候補者からは「店頭のレジ対応に時間がかかる」といった実務面の懸念が繰り返された。さらに政策効果の面では、広く一律に減税をすれば消費額の多い層が相対的に恩恵を受けやすいという指摘がある。小泉進次郎氏はその点を問題提起し、短期的には現金給付や自治体向け交付金など、よりターゲットを絞った手当のほうが実感性を高めやすいとの見立ても示した。候補者の提案には、定率の所得税見直しや交付金拡充といった代替案も混在しており、減税という一語の裏に複数の政策パスが潜んでいることが分かる。何を優先し、誰に届く施策にするのかという議論の整理が不可欠である。
これからの選択肢と有権者への問いかけ
共同会見で強く伝わったのは「選択肢は排除しないが、急ぎすぎない」という姿勢だ。与野党の協議や党内合意、制度設計といった手続きを踏まずに進めるのは難しいとの共通認識がある。だが、その慎重さは国民の「今」の暮らしの不安にどう応えるのかという問いを曖昧にする危険もはらむ。例えば、野党が減税を条件に連立参加を示唆した場合に受け入れられるのか、という点について茂木敏充氏は別の場で「かなり厳しい」と述べており（BS番組での発言）、連立を含む政治判断の線引きが今後の焦点になりそうだ。どの道を選ぶにせよ、選択肢の実効性と公平性をどう担保するかという点は残された大きな課題である。現時点では党内の議論がどのようにまとまるかは未確認であり、詳細はまだ見えていない。読者にはこう問いたい──その議論の中で、あなたが最も重視したいのは何か。
