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広島大、京都大、日本電子などの共同研究チームは2026年7月13日、高分子半導体PTNT2Tが低い結晶性でも高い電荷移動度を示す仕組みを解明した。研究成果はChemical Scienceに掲載され、塗布型の有機薄膜太陽電池(OPV)への応用も実証した。
分子のコアを重ね、電荷の通り道を形成
高分子半導体は有機溶媒に溶かして薄膜化できるため、印刷や塗布による製造への応用が期待される。一方、高い移動度を得るためにポリマー鎖の平面性や剛直性を高めると、一般に溶解性が低下し、塗布による成膜が難しくなるという課題がある。
PTNT2Tでは、TNT骨格同士が分子レベルで重なる「core-to-coreスタッキング」によって、主鎖間に電荷輸送経路が形成される。研究チームは、低結晶性でも高い移動度を得られる仕組みを示し、溶解性と電荷輸送性を両立する材料設計の可能性を明らかにした。
PTNT2Tをドナー材料とし、非フラーレン系のアクセプター材料と組み合わせたOPVでは、変換効率15.6%を記録した。15.6%は、PCBMを用いた厚膜OPVの12%とは異なる材料条件で得られた値である。
300ナノメートル超の厚膜でも変換効率12%
PTNT2Tをドナー、PCBMを電子を受け取るアクセプターとして組み合わせたOPVでは、発電層が300ナノメートルを超えてもフィルファクターが80%を上回り、変換効率12%を示した。大面積モジュールでは均一な発電層を形成するため厚膜化が必要となることから、厚膜でも性能を維持できる点は製造面で重要となる。
2024年には、同じTNT骨格を持つ別のポリマーPTNT1-Fを用いたOPVで変換効率17.4%が報告された。ただし、12%、15.6%、17.4%は材料や膜厚、セル構造などの条件が異なるため、数値を直接比較することはできない。
PTNT2Tは、低結晶性でも高い電荷移動度を生む分子間構造と、厚膜OPVでの性能が確認された。実用化には、大面積セルでの性能や耐久性、量産工程での検証が今後の課題となる。
