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広島大学は2026年8月21日、西田壮汰大学院生(研究当時)と今村拓也教授らが、ヒト特異的なノンコーディングRNA「pancEFHC1」がてんかん関連遺伝子EFHC1を活性化し、神経幹細胞の増殖を支える仕組みを明らかにしたと発表した。
遺伝子を動かす「スイッチ」として機能
pancEFHC1はタンパク質を作らないノンコーディングRNAで、EFHC1遺伝子のプロモーター領域に存在し、その発現を活性化する。EFHC1は若年性ミオクロニーてんかん(JME)との関連が知られる遺伝子の一つだ。
研究では、EFHC1の働きを低下させたヒト神経幹細胞で増殖が低下し、小胞体ストレスとp38 MAPキナーゼ経路の活性化が確認された。小胞体ストレス緩和剤やp38 MAPキナーゼ阻害剤を加えると、増殖低下は改善した。
また、pancEFHC1を低下させるとEFHC1のプロモーター領域のDNAメチル化が増え、EFHC1の発現と神経幹細胞の増殖が低下した。マウスの神経幹細胞にはpancEFHC1が存在せず、EFHC1の発現量はヒトの5分の1以下だった。
研究成果は国際学術誌「Stem Cell Reports」に掲載され、論文番号は103049。
治療効果ではなく、病態解明へ向けた基礎研究
広島大学によると、JMEは全てんかんの約5〜10%を占める。日本てんかん協会は、国内のてんかんのある人を約100人に1人、約100万人と推定している。
今回示されたのは主に細胞実験による分子機構で、患者への治療効果を実証した研究ではなく、EFHC1やpancEFHC1の機能低下がすべてのてんかんの直接原因だと示したものでもない。研究チームは今後、ゲノム編集モデルマウスやiPS細胞由来の脳オルガノイドを用いた病態モデルを開発し、治療候補薬の評価や探索につなげるとしている。
