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2025年10月7日朝、東京のザラ場に点灯する気配値はじわじわと上向き、板の奥でAI関連に気配が集まった。自民党総裁に高市早苗氏が選ばれた直後の政策期待が市場心理を支え、さらに米国ではOpenAIが半導体大手と供給契約を結んだとの報が伝わる。輸出や素材に加え、内需の一角にも買いが広がり、相場は続伸の流れを強めていると映る。
朝の気配が物語る広がり──輸出と素材、内需にも波及
2025年10月7日午前9時台、東京市場は寄り付きから買い優勢の地合いとなり、気配値は各所で切り上がった。自動車、機械、電機といった輸出関連に資金が向かい、非鉄金属や鉄鋼など資源価格の動きに敏感な素材株にも買い直しが入る。前週からの戻り基調が素直に継続し、指数寄与度の大きい銘柄が率先して水準を切り上げている構図だ。
一部報道によれば、午前序盤の取引で東証33業種のうちおよそ7割が上昇し、非鉄金属が上昇率の上位に顔を出したとされる。サービスは利益確定に押される場面もあったが、相場全体のリスク許容度は保たれ、物色は広がりを保ったままだ。為替が落ち着くなか、外需の先高観と資源高の思惑が交差し、銘柄選別の軸が複線化している光景が浮かぶ。
内需では保険や不動産、電気・ガスなどディフェンシブの一角も堅調に推移した。金利観測の振れ幅がやや落ち着く一方、足元の株高が個別の需給を引き締め、年初来高値圏にある主力に追随する動きが散見されたためだ。相場つきは強弱材料のせめぎ合いながら、買い戻しと押し目買いが同時進行する「厚み」を増しているとみられる。
高市新体制への先回り──財政・成長志向の思惑がにじむ
与党総裁選で高市早苗氏が選出された直後の相場だけに、政策期待は値付けの背景にある。成長投資や規制・手続きの見直しなど、景気の呼び水となり得るシグナルが意識され、設備投資や輸出に波及するとの読みが広がっている。前週は長期金利と為替がやや不安定だったが、きょうは株式市場が先に「実体の底堅さ」を織り込みにいく展開と映る。
市場関係者の間では、金融株の扱いを巡る視線も交錯している。日本銀行の直近会合に向けた利上げ観測は振れがちだが、仮に内需が強含み長期金利がじわりと上がるなら、銀行は利ざや拡大の恩恵を受けやすいとの指摘がある。成長志向の政策が設備投資や消費を押し上げるなら、信用コストの安定も相まって「逆風どころか追い風」との声もにじむ。
足元の指数については、午前9時台にTOPIXが前日比で小幅高、日経平均が概ね1％高との観測が伝わった。数字は刻々と更新されるが、寄り前の先物主導から現物に買いが波及し、セクターを越えて資金が循環している点は共通している。政策期待は誰に有利なのか、そして期待先行はどこまで許容されるのか。投資家の視線は次の材料を探り始めている。
AIインフラの熱気──OpenAIと半導体の「需給」が示すもの
米国発の材料では、AIインフラを巡る需給の逼迫が再び意識された。OpenAIが半導体大手との間でチップ供給の契約を結んだとの報が広がり、米国市場では当該企業の株価が急伸した。クラウドや生成AIの普及が速いペースで進むなか、推論・学習の双方で演算資源が不足気味である現実が、株式市場の期待を一段と押し上げた格好である。
AI関連の調達加速は、日本株にも波及している。GPUや先端半導体に連なる素材・装置、データセンター建設に絡む電設や不動産リートにまで物色の裾野が広がり、足の速い資金がテーマ間を回遊する。需給の引き締まりは価格転嫁の余地を生み、先端部材や製造装置の価格・数量の両面で収益期待が高まるとの連想も強い。短期資金の回転は速く、反応は鋭い。
一方で、インフラ整備の大型投資はコスト負担の前提を変える。電力料金や調達コストが上振れすれば、AIの運用益と均衡点を探る局面も訪れる。需給がタイトな間は価格上昇圧力が勝ちやすいが、新規供給の立ち上がりや政府の支援策の有無で、サイクルの持続性は変わり得る。足元の「熱」は本物か、それとも循環の一こまだろうか。見極めが問われる。
外部環境の陰影──為替、アジア市況、そして次の一手
東京市場の強さを映しつつも、海外要因の影は残る。アジア株は総じてまちまちで、米金利や原油の動向に神経質な値動きが続く。為替は政策期待と金利観測の綱引きで方向感を欠きやすく、輸出には追い風でも、内需ディフェンシブには相対的な重しとなる場面もある。決算の前哨戦が近づくなか、ガイダンスと投資計画のアップデートが焦点になりそうだ。
政治日程では、新体制の顔ぶれと初動政策が資本市場の試金石となる。成長投資・賃上げ・規制改革の具体像が見えれば、セクター間の温度差はさらに鮮明になるだろう。金融政策面では、次回会合に向けて賃金や需給ギャップの確認が進み、長期金利のボラティリティは収束に向かう可能性もある。期待先行と実需のバランスが、年末相場の針路を決める。
結局のところ、きょうの相場は「政策」と「AIインフラ」という二つの物語が重なって立ち上がった。偶然か必然か。政治の舵とテクノロジーの熱が、投資家のリスク許容度を押し上げる場面で交錯している。指標の数字は変わり続けるが、需給の手触りは確かだ。次の一手を見据え、数字の裏側にある行動の物語を追っていきたい。
