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ドイツのカールスルーエ工科大学(KIT)と筑波大学の研究チームは2026年8月28日(論文の公開日)、熱で形状記憶合金薄膜を動かす固体冷却プロトタイプをNature Energyで発表した。130℃の外部熱源で駆動し、装置レベルで2.2Kの温度差を実証した。
熱で薄膜を動かし、冷却作用を生む
エラストカロリック冷却は、形状記憶合金に荷重をかけたり外したりした際の相転移を利用する。従来は、合金を動かすために電動アクチュエーターが必要だった。
今回の装置は、熱で収縮して力を発生するTiNi作動薄膜と、荷重・除荷によって冷却するTiNiFe冷媒薄膜を機械的に結合した。作動薄膜の力で冷媒薄膜を伸縮させ、除荷で薄膜を冷却した後に冷却対象側から熱を吸収し、サイクルを通じて放熱側へ移す。
ただし、実験装置全体が無電力だったわけではない。外部熱源には温度制御した白金マイクロヒーターと銅板を用い、熱交換器の移動には電動リニアアクチュエーターを使った。実証したのは、冷却サイクルを駆動する機械的な力を熱から得る構成だ。
実証機で2.2K、実用規模は未到達
ジュール加熱で作動薄膜の平均ピーク温度を86℃とした条件では、冷媒薄膜レベルで12.9K、装置レベルで4.0Kの温度差を得た。測定対象が異なるため、両者の差をそのまま装置の損失とはみなせない。
130℃の外部熱源を使った構成では、装置レベルの温度差は2.2Kだった。論文は、4.0Kから低下した主因を、現行形状で作動薄膜の可動距離が短くなったことだと説明している。
KITは将来、プロセッサーや自動車の駆動系から出る廃熱を電子機器の冷却に利用する用途を例示している。The Registerは、規模を拡大できればデータセンター冷却にも応用し得ると報じたが、現段階は小型プロトタイプによる実証にとどまる。
研究チームは現在、複数の薄膜を並列に接続して冷却能力を高める取り組みを進めている。
