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ポル・メド・テックは6月29日、遺伝子改変ブタの腎臓を重度腎不全患者に移植する国内初の企業治験に向け、北海道大学と徳洲会と基本合意したと発表した。2028年の臨床試験開始を目標に、北海道大学病院と湘南鎌倉総合病院で準備を進める。異種移植は異なる種の間で臓器などを移す医療で、今回はブタからヒトへの腎移植となる。
研究開発と臨床基盤の接続
同社は腎臓移植の研究開発パイプラインで、「免疫拒絶を抑えた遺伝子改変DPFブタの腎臓を患者へ移植」する構想を掲げてきた。6月29日の発表では、北海道大学と徳洲会との基本合意に基づき、関係当局との協議を経て治験プランを最終化するとした。ブタの臓器をそのまま人に移せば強い拒絶反応が起きるため、技術の要点は、拒絶反応や血液凝固を抑える遺伝子改変にある。
北海道大学病院は2023年11月、ブタからサルへの異種移植研究の成果に触れたうえで、国内でも異種移植を実現させるための準備を進めていると説明している。同病院は遺伝子改変ブタについて、異種移植の障壁となる遺伝子を除去し、拒絶反応や血液凝固などを抑える遺伝子を組み込んだブタだとしている。
湘南鎌倉総合病院は2012年から腎臓移植を実施し、これまでに約160例の腎移植を行ってきた。2022年10月には腎移植・ロボット手術センターを設立しており、腎移植の臨床経験を持つ医療機関として計画の土台を支える形になる。
ドナー不足への挑戦
末期腎不全の治療では、透析と腎移植が主要な選択肢となる。湘南鎌倉総合病院は腎移植を末期腎不全における唯一の根治的治療法と位置付けているが、移植にはドナーが不可欠で、移植後も免疫抑制薬を生涯服用する必要がある。
ポル・メド・テックは、日本国内では腎移植の待機者が多く、透析患者数や透析医療コストも大きい一方、ドナー不足で移植件数が限られていると説明している。ブタの腎臓を使う異種移植は、実用化できれば臓器供給の制約を和らげる可能性があるが、人で安全に機能するかは治験で慎重に確かめる段階だ。
今後は、治験の対象患者や症例数、安全性評価、移植腎の生着期間の扱い、規制当局との協議、倫理審査の進み方が問われる。遺伝子改変によって拒絶反応を抑える設計であっても、ヒトでの安全性と有効性が確立したわけではない。国内初の企業治験に向けた準備は、医療上の期待と慎重な検証の両方を伴う。
