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弘前大学大学院理工学研究科の呉羽拓真助教、岡部孝裕准教授らの研究グループは、体積の約70%が水でありながら、落下衝撃でスーパーボール並みに弾む高含水ハイドロゲルを開発した。側鎖先端の変更により、圧縮弾性率は約0.1MPaから最大約2.0MPaに向上した。論文ページでは初出日が6月5日と表示され、弘前大学が6月16日に公表した。
水を多く含むゲルの弱点を抑える設計
ハイドロゲルは水を多く含むため、生体になじみやすく、物質を通しやすい材料として知られる。一方で、含水率が高いほど脆くなり、衝撃や大きな変形に弱いことが課題だった。従来は化学架橋剤を増やして網目を密にし、硬くする方法が中心だったが、硬化と引き換えに脆化や不透明化、収縮が起こりやすい。
今回の研究では、架橋ポリマー主鎖から伸びる側鎖の先端を、疎水性寄りのメトキシ基から、親水性で水素結合できるヒドロキシ基へ切り替えた。これにより、ポリマー同士が一時的に結び付く「超分子架橋」が増える。化学的に強く固定するのではなく、ほどけたり結び直したりできる弱い結び付きで衝撃を受け止める仕組みだ。
合成は水溶液中で一段階の簡便なプロセスで実現できる。高速度撮影では、ヒドロキシ基を持つゲルが落下後に大きく跳ね返り、最小限の変形から数ミリ秒で形状を回復する様子が確認された。水を多く含む柔らかさを保ったまま、硬さと反発性を引き上げた点が特徴となる。
人工軟骨や水中緩衝材への応用可能性
研究グループは応用先として、人工軟骨などの軟組織代替材料、衝撃吸収材、濡れた環境や水中で使うクッション性材料、ソフトロボティクス部材を挙げている。水分を含む環境で使いやすい材料は、医療やロボット、保護部材など幅広い分野で需要がある。
今回の成果は、ハイドロゲルの「柔らかさ・含水性」と「強さ・弾性」を両立させる設計指針を示したものだ。ただし、人工軟骨などの医療用途には、生体適合性、長期耐久性、摩耗特性、滅菌耐性などの評価が必要になる。今後は、用途ごとの実使用条件で性能を検証し、材料設計としての有効性を確かめる段階に進む。
