米バイオ企業Life社、視神経障害治験薬ER-100を初回投与

動物モデル由来の視機能回復研究、ER-100で初のヒト安全性評価試験が開始

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Life Biosciencesは米国発表日6月9日、視神経障害を対象とする治験薬ER-100の第1相試験で、最初の被験者への投与を開始したと発表した。対象には開放隅角緑内障(OAG)と非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)が含まれる。動物実験などの前臨床段階から、人で安全性と忍容性を確かめる臨床段階へ進んだことが今回の焦点だ。

安全性を確かめる初のヒト試験

ER-100は、Life BiosciencesがAAV2-OSKに基づくエピジェネティック治療候補と位置付ける治験薬だ。エピジェネティック治療とは、DNA配列そのものを書き換えるのではなく、遺伝子の働き方を調整する仕組みに働きかける考え方である。

今回の第1相試験は、成人のOAGまたはNAION患者を対象にした初のヒト試験で、ClinicalTrials.govの登録番号はNCT07290244。主目的は単回投与による安全性と忍容性の評価で、薬が人に投与された際に大きな問題なく受け入れられるかを確認する段階に当たる。

Life Biosciencesによると、同社はFDAからER-100の初のヒト試験に進むための治験届(IND)クリアランスを2026年1月15日に受け、1月28日に公表した。今回の初回投与は、その認可を受けて試験が実際に動き出したことを示す。試験には免疫反応や視機能に関する評価項目も組み込まれているが、現時点でヒトでの視力回復が確認されたわけではない。

動物データから臨床検証へ

ER-100の背景には、2020年にNatureに掲載された研究がある。この論文では、マウスの網膜神経節細胞でOct4、Sox2、Klf4という3因子を発現させることで、若い状態に近いDNAメチル化パターンの回復や軸索再生の促進、緑内障モデルや高齢マウスでの視機能回復が報告された。

ただし、動物で示された効果と人での有効性は別の問題である。今回の試験の中心はあくまで安全性と忍容性の確認であり、ER-100がOAGやNAION患者の視機能を改善できるかは、今後の臨床データで検証される。

初回投与を受けた被験者について、Life Biosciencesの発表では疾患区分、投与量、初期安全性データの公表時期などの詳細は明らかにされていない。一部報道では緑内障患者の片眼への投与と伝えられているが、ER-100は「視力を回復させる薬」として実証された段階ではない。現時点では、視神経障害を対象にヒトでの検証が始まった治療候補と位置付けるのが正確だ。

参考・出典

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