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近畿大学の杉目恒志准教授らの研究グループは、カーボンナノチューブ(CNT)を高温で長く成長させる新たな触媒を開発した。鉄(Fe)ナノ粒子にエルビウム(Er)またはスカンジウム(Sc)を助触媒として組み合わせ、特にScで900℃でも触媒寿命を延ばす効果を示した。高品質で長いCNTの効率合成につながる成果だ。
鉄触媒にErまたはScを組み合わせ
研究は、近畿大学理工学部応用化学科の杉目恒志准教授、朝倉博行講師、近畿大学法人本部管理部技術課長の納谷真一氏らが進めた。チームは、鉄ナノ粒子を使って高密度なCNT集合体であるCNTフォレストを成長させる手法を対象に、レアアース助触媒が成長寿命に与える影響を調べた。
同グループはこれまで、ガドリニウム(Gd)を加えた触媒の有効性を報告してきた。今回の新規性は、Gd以外では報告例がなかったErまたはScを助触媒として用い、Fe触媒ナノ粒子の安定化とCNTフォレストの成長寿命を比較した点にある。800℃ではEr、Gd、Scの差は小さかった一方、900℃ではScを用いた場合にGdやErの2倍以上長い成長寿命が得られた。
長尺CNT合成への手掛かり
CNTは炭素原子が筒状につながった微細な材料で、高い強度や優れた電気・熱伝導性を持つ。電子材料や複合材料など幅広い応用が見込まれる一方、合成中に触媒ナノ粒子が構造変化を起こすと成長が止まり、長く品質のそろったCNTを作りにくい。
CNT合成では一般に、成長速度を高めるほど触媒寿命を保ちにくいという課題がある。今回の成果は、Scが高温条件でもFeナノ粒子の安定性を保ち、CNTフォレストを長く成長させる手掛かりを示した点に意味がある。今後は、得られるCNTの品質評価や量産条件での再現性、ほかの高温反応への応用可能性が検証課題となる。
