米比合同演習でウクライナ製USV初投入 ルソン海峡で標的船撃沈

米特殊部隊、米比合同演習で海上ドローン訓練 ウクライナ製Magura系USVを投入

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2026年4月の米比合同演習「バリカタン2026」で、米軍特殊作戦部隊がフィリピン北部のルソン海峡周辺から無人水上艇(USV)を遠隔運用し、標的船を撃沈した。複数の防衛報道では、使用機体は黒海で実戦投入されてきたウクライナ製「Magura」系USVで、インド太平洋での初投入だったとされる。

台湾南方の海峡正面で示した海上拒否能力

訓練はフィリピン最北端のバタネス諸島・イトバヤット周辺で行われた。バタネス諸島は台湾南方のルソン海峡に位置し、艦艇や航空機が西太平洋へ出入りする要衝に当たる。ここで米比両軍が実弾の海上打撃訓練を行ったことは、島嶼部から相手艦艇の行動を制約する「海上拒否」の能力を示す意味を持つ。

訓練「Maritime Strike-North」では、米陸軍のグリーンベレー部隊が爆薬を搭載した無人水上艇を遠隔操作し、海上目標に突入させた。人が乗らない小型艇をセンサーや通信で誘導し、標的に接近させて攻撃する仕組みで、従来のミサイルや航空攻撃とは異なる低コストで分散した打撃手段となる。

バリカタン2026では別系統の海上打撃訓練でも、日米比加の部隊が退役艦を標的に統合打撃を実施した。演習全体を通じ、長距離機動、対艦火力、航空戦力、無人システムを組み合わせ、北部ルソン正面で敵艦の接近を阻む訓練パッケージが前面に出た。Magura系USVはウクライナが黒海でロシア艦艇への攻撃に使われてきた兵器で、海上ドローンが大型艦艇の行動を制約し得ることを示してきた。

黒海の戦術知見をインド太平洋へ

今回の焦点は、単に新しい装備を演習に持ち込んだことではない。ウクライナ戦争で実戦化された海上ドローンの運用を、台湾周辺を含むインド太平洋の海峡・島嶼部に接続し始めた点にある。小型で多数投入しやすい無人艇を、対艦ミサイルや航空火力と組み合わせれば、相手に「どこから攻撃されるか分からない」環境をつくることができる。

米軍の演習配置や防衛報道の分析では、こうした無人システムの活用は、台湾有事を念頭に置いた海上拒否構想と結びつけて受け止められている。中国を名指しした攻撃演習と断定する段階ではないが、訓練場所がルソン海峡であり、無人艇、対艦火力、統合打撃を重ねて示したこと自体が、地域の抑止態勢を強く意識した動きだ。

使用機体の具体的な型式、米軍がどの段階の誘導や終末攻撃を担ったのか、米政府・米軍によるMagura系USVの正式調達の有無は明らかにされていない。フィリピン側については、Magura系USVそのものの導入は確認されていない一方、USNI Newsは6月23日、米国がフィリピン海軍に米Ocean Aero製Triton無人艇4隻を引き渡し、2027年までに武装ドローンなどの能力供与を計画していると報じた。今後は、ウクライナ発の海上ドローン技術が一時的な演習参加にとどまるのか、米比の無人システム網やインド太平洋の作戦計画にどこまで組み込まれるのかが焦点となる。

参考・出典

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