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EU理事会と欧州議会の交渉担当者は6月1日、EUに滞在する権利のない第三国国民の送還に関する新規則で暫定合意した。中心となるのは、EU域内からの退去を命じられた人を、EU域外の第三国に設ける「リターンハブ」に移送できる仕組みだ。合意はなお理事会と議会の承認、法文審査、正式採択を必要とし、現時点で規則が成立・全面施行されたわけではない。
第三国拠点と送還執行の強化
新規則は、対象者に加盟国を離れる義務と当局への協力義務を課す。加盟国は、人権基準と国際法上の原則を尊重する第三国と取り決めを結んだ場合、その国にリターンハブを設けられる。リターンハブは最終的な送還先として使われるほか、出身国や別の第三国への移送を進める中継拠点にもなり得る。迫害や拷問のおそれがある国へ送り返してはならないノン・ルフールマン原則の尊重が条件となる。
加盟国間の手続きをそろえるため、「欧州送還命令」も導入する。一つの加盟国で出た送還判断を別の加盟国でも扱いやすくする仕組みで、相互承認は当面任意だが、将来の義務化を見直す規定がある。送還準備のための収容は個別評価を前提に最長24カ月とし、状況変化などがあれば6カ月延長できる。安全保障上のリスクがあるとみなされた人には、10年を超える、または無期限の入域禁止や、刑務所での収容を含む特則も設ける。
保護者の同伴がない未成年者は、第三国移送の対象から除外される。ただし収容規定では、保護者の同伴がない未成年者や子どものいる家族についても、子どもの最善の利益を考慮したうえで、最終手段として最短の適切な期間に限り収容できる。正式採択後に公布・発効すれば、リターンハブや未成年者の年齢査定、送還の対外的側面に関する規定は直ちに適用され、準備を要する他の規定は発効12カ月後に適用される。
低い送還率を背景に強まる移民政策
EU側は、退去命令が出ても実際に域外退去に至る比率が低いことを制度強化の理由にしている。今回の規則は、6月12日に適用開始となる移民・庇護パクトを補完する位置づけで、庇護申請や国境管理だけでなく、退去命令後の執行まで一体で厳格化する流れにある。
複数の欧州主要メディアは、人権・移民支援団体や一部議員が、第三国の送還拠点、長期収容、家宅捜索につながり得る規定などに強く反発していると伝えている。批判の中心は、本人にゆかりのない第三国への移送や収容の長期化が、乱用や権利侵害を招きかねないという点だ。今後は正式採択の行方に加え、どの第三国が受け入れ先となるのか、各加盟国がどこまで厳格に運用するのかが焦点となる。
参考・出典
- Council and Parliament reach deal on returns of illegally staying third-country nationals – Consilium
- Deal on new EU rules on migrant returns | News | European Parliament
- EU paves way to allow migrant deportation to centres outside bloc
- EU greenlights controversial return hubs in ‘strictest-ever’ new migration law | Euronews
