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トム・コットン米上院議員は米国時間6月17日、ベッセント財務長官に書簡を送り、越境決済プラットフォームエアウォレックスへの中国系投資について、対米外国投資委員会(CFIUS)に国家安全保障審査を開くよう求めた。エアウォレックスをめぐる米側の問題提起は、米顧客データへのアクセス懸念に加え、出資構造や米事業への影響を問う投資審査の領域へ広がった。
データ懸念から投資審査へ広がる論点
コットン氏は2025年12月18日、ボンディ司法長官宛ての書簡で、エアウォレックスのデータが中国共産党にアクセスされているのかどうかを全面的に調査するよう司法省に求めていた。書簡では、同社を主要な米企業向けに機微なデータを処理する越境決済プラットフォームと位置付けていた。
同書簡は、エアウォレックスが決済、給与、経費精算などを通じ、社会保障番号、生年月日、支払い情報、出張や移動に関わる情報を扱いうると指摘した。これらは企業活動の裏側にある個人情報や行動情報であり、漏えいすれば単なる決済情報を超えた安全保障上の懸念につながり得る。
一方、エアウォレックスは6月9日の声明で、米国の顧客データは米国内に保存され、中国本土や香港の従業員はアクセスできないと説明している。同社は、顧客データへのアクセスは権限を持つ担当者に限定され、多要素認証や24時間監視などの管理を行っているとも主張している。
コットン氏は17日付書簡で、テンセントとホンシャンがエアウォレックス株式を合計20%超保有しているとする報道ベースの主張を示した。これに対し、エアウォレックスは6月9日の声明で、Tencentの保有は10%未満の受動的少数持分で、取締役会席や一般の受動的少数株主を超える情報権はないと説明している。中国系資本の存在そのものが直ちに中国政府の支配や違法性を意味するわけではないが、米側ではデータと投資権限が結び付いて論点化している。
焦点となるCFIUSの判断
CFIUSは、外国からの対米投資が米国の安全保障を損なう恐れがないかを審査する枠組みで、財務長官が議長を務める。今回の要請で問われるのは、エアウォレックスをめぐる投資が、米国内の事業やデータ、意思決定にどの程度のアクセスや影響力を与えるのかという点だ。
ベッセント氏は2026年5月、中国企業による非センシティブ分野への対米投資を事前に確認・振り分ける枠組みとして、「Board of Investment」の協議に言及していた。米政府内では、中国からの投資を一律に遮断するのではなく、分野や権限に応じて線引きする議論が続いている。本件は、その線引きが金融テクノロジーとデータの領域で試される案件となる。
今後は、コットン氏が挙げたTencentやHongShanの持分、議決権、取締役指名権、情報アクセス権などを、財務省やCFIUSがどう扱うかが問われる。エアウォレックス側が示している米顧客データの管理体制やTencentの受動的少数持分という説明も、規制当局の評価対象になり得る。コットン氏の要請はCFIUSによる正式審査の開始や違法性の認定と同義ではなく、現時点では政治側から審査を求めた段階にとどまる。
