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国際決済銀行(BIS)は5月27日、卸売り型の越境決済を対象とする「Project Agorá」の試作・検証結果を公表し、実際の資金を用いる次段階の試験へ進める方針を示した。複数通貨の銀行間決済を、トークン化された中央銀行準備預金と商業銀行預金で処理する構想で、一部の通貨と参加者に絞って実価値取引の検証に入る見通しだ。
主要中銀と民間金融機関が参加する実証
Project Agoráは2024年4月に始まった国際的な実証で、これまでイングランド銀行、ニューヨーク連銀、フランス銀行、日本銀行、韓国銀行、メキシコ銀行、スイス国立銀行が参加してきた。40超の民間金融機関も加わっており、BISは今回、カナダ銀行も新たに参加すると発表した。カナダ銀行を含めると、関係する中央銀行は8機関となる。
構想の柱は、中央銀行のお金である準備預金と、民間銀行の預金をそれぞれデジタル上で扱いやすい形に「トークン化」し、国境をまたぐ大口決済に使う点にある。一般消費者向けの送金アプリや小売り型デジタル通貨ではなく、銀行間・金融市場インフラに近い領域の実験である。
試作では、複数通貨・複数法域にまたがる取引でも、すべての処理が成立するか、すべて不成立になるかをそろえる「atomic settlement」が安全に実現可能だと確認した。これは、片方の通貨だけが動いてもう片方が残るといった決済リスクを抑える仕組みだ。BISはまた、共通基盤を使いながら各中央銀行が自国通貨と運営への統制を維持でき、残高や取引情報のプライバシー保護と規制順守も両立し得るとしている。法的にも、参加7法域すべてで決済完了性を実現し得るとの整理を示した。
商用化ではなく限定試験の段階
今回の発表は、国際送金インフラの全面導入や商用化の決定ではない。設計・技術検証を経て、一部の通貨と参加者を対象に、実際の価値を伴う取引で機能を確かめる段階に進むという位置づけだ。
実価値試験の具体的な開始日、対象となる通貨、参加する金融機関の範囲は明らかにされていない。今後は、送金や外国為替、証券決済関連など、どの取引類型から検証を始めるのかも焦点になる。
越境決済は現在も、処理に時間がかかり、手数料が高く、資金の状態が見えにくいことが課題とされる。Project Agoráが次の段階で問われるのは、トークン化と共通基盤によって、こうした非効率を実際の金融取引の中でどこまで減らせるかである。
参考・出典
- Press release: Project Agorá shows how tokenisation can improve wholesale cross-border payments; work will advance to real-value testing
- Project Agora: exploring tokenisation of cross-border payments
- Project Agorá – Frequently Asked Questions (PDF)
- Tokenisation can improve wholesale cross-border payments: key findings from Project Agorá
- BIS and Banks Build Blockchain Cross-Border Payments Prototype
