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米Anthropicは米国時間6月30日、科学研究向けAIワークベンチ「Claude Science」のベータ版を公開した。文献調査、データ解析、図表・原稿作成、計算ジョブの管理を一つの研究環境で扱える設計で、NVIDIAの生命科学向け「BioNeMo Agent Toolkit」とも連携する。
研究環境をつなぐベータ版
Claude ScienceはmacOS 13以降とLinux x64向けにベータ提供され、Claude Pro、Max、Team、Enterpriseの各プラン利用者が対象となる。TeamとEnterpriseでは、組織の管理者による有効化が必要だ。ローカル環境だけでなく、SSHで接続するリモート環境やHPCログインノードでも使える。HPCログインノードは、高性能計算機を使うための入口にあたる環境で、大規模な解析を既存の研究基盤につないで進めやすくする狙いがある。
利用者は、60超のキュレート済みスキルとコネクターを備えた調整エージェントを通じ、研究作業を進められる。対応分野はゲノミクス、シングルセル解析、プロテオミクス、構造生物学、ケモインフォマティクスなど生命科学分野が中心だ。図表などの成果物には、生成に使ったコード、実行環境、平易な説明、メッセージ履歴などの追跡可能な情報が付くため、後から作業過程を確認しやすい。研究成果物の正しさを自動で保証するものではなく、検証や監査をしやすくする設計である。
NVIDIAとの連携では、Claude ScienceがBioNeMo Agent Toolkitのスキルを使い、BioNeMo内のEvo 2、Boltz-2、OpenFold3などの生命科学モデルやライブラリに接続する。BioNeMo Agent Toolkitは、生命科学向けの計算ワークフローをAIエージェントが呼び出せる形にまとめる仕組みで、NVIDIAの高速化モデルやライブラリ、NIMマイクロサービスを研究作業の中で使えるようにする。
焦点は新モデルではなく研究ワークフローの統合
今回の発表の中心は、新しい基盤モデルそのものではなく、研究者が日常的に使う論文、データベース、解析環境、計算資源を会話型ワークベンチでつなぐ点にある。Claudeの一般的な対話利用を科学研究向けに拡張し、文献分析から多段階の研究実行、図表や原稿の反復的な改善までを同じ作業空間で支援する構成だ。
今後の焦点は、プラン別の利用上限や組織内での有効化、外部の計算環境や研究機関のシステムとどの程度円滑に接続できるのか、実際の研究で精度や再現性、作業効率の改善がどれほど定量的に示されるのかに移る。科学研究向けAIは、便利な文章生成から、検証可能な作業履歴を伴う研究基盤へと競争軸を広げつつある。
