東北大学金属材料研究所、リチウム金属電池の最適設計指標を提示

次世代リチウム金属電池を長持ちさせる鍵を発見 東北大が電解液の濃さに新指標

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東北大学は2026年7月1日、金属材料研究所の李弘毅助教、市坪哲教授らの研究グループが、リチウム金属電池の性能を左右する電解液濃度について、新たな設計指標を示したと発表した。研究成果は6月29日、学術誌「ACS Electrochemistry」にオンライン掲載された。鍵となるのは、電解液中のイオンが連動して動く「協調輸送」と、負極表面に形成される保護膜SEIの力学的な安定性だ。

イオンの動きと保護膜を一体で評価

研究グループは、LiTFSI/EC-PC電解液を対象に、濃度の違いがイオンの動き、リチウムの析出・溶解、SEIの力学特性にどう影響するかを調べた。PFG-NMR測定では、1〜2 Mの領域で7Liと19Fの自己拡散係数が近づき、Li+とTFSI-を含むイオン種がばらばらではなく、連動して移動している可能性が示された。

この濃度条件では、リチウムの析出と溶解が均一で可逆的に進み、充放電の安定性が高まった。リチウム金属負極では、金属リチウムが針状に伸びると劣化や短絡の原因になるため、析出を均一に保つことが重要になる。

ナノインデンテーション測定では、協調輸送が示唆された条件で、SEIの硬さと弾性率の比であるH/E比が高くなることも示された。H/E比は、保護膜の機械的安定性やき裂への抵抗をみる手がかりで、SEIが割れにくく安定して働くかを評価する指標になる。

「高濃度ならよい」から設計指標へ

リチウム金属電池は、現在広く使われるリチウムイオン電池の黒鉛負極より高い理論容量を持つ次世代電池として期待されている。一方で、充放電を繰り返す過程でデンドライトが成長し、寿命低下や安全性低下につながることが大きな課題だった。

従来は電解液を高濃度にすることが有効とされてきたが、濃度を上げれば性能が単純に向上するわけではない。今回の研究では、電解液濃度の上昇に伴って粘度が増し、4.16 Mで室温の飽和濃度に達することも確認しており、イオンの動きや界面の安定性を含めて最適な領域を見極める必要があることを示した。

研究成果は、LiTFSI/EC-PC系で得られた知見として位置付けられる。今後は他の溶媒やリチウム塩への展開に加え、ナトリウム蓄電池やマグネシウム蓄電池など、次世代蓄電池の界面設計にも応用できるかが焦点となる。論文タイトルは「Correlated Ion-Pair Diffusion Enables Balanced Transport Kinetics and Interfacial Stability for Lithium Metal Anodes」、DOIは10.1021/acselectrochem.6c00140である。

参考・出典

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