がん細胞だけを狙う新ウイルス薬 鹿児島大チームが最終治験に着手
鹿児島大学の小戝健一郎教授らは、がん細胞だけを狙う腫瘍溶解性ウイルス「Surv.m-CRA-1」を用い、希少がんである原発性悪性骨腫瘍を対象にした第3相医師主導治験を始めた。国内の研究者が独自に生み出したウイルス薬として本格承認を目指す最終段階であり、2027年中の実用化を見据える。若年層にも多い骨のがんに、新たな治療選択肢をもたらせるかが問われる。
心と体、働き方、生き方を切り口に、政治・経済・テクノロジー・社会制度が 私たちのウェルビーイングにどう関わっているのかを整理します。
医療、メンタルヘルス、労働環境、テクノロジーの進化などを通じて、ウェルビーイングを、社会構造として捉えるためのカテゴリです。
鹿児島大学の小戝健一郎教授らは、がん細胞だけを狙う腫瘍溶解性ウイルス「Surv.m-CRA-1」を用い、希少がんである原発性悪性骨腫瘍を対象にした第3相医師主導治験を始めた。国内の研究者が独自に生み出したウイルス薬として本格承認を目指す最終段階であり、2027年中の実用化を見据える。若年層にも多い骨のがんに、新たな治療選択肢をもたらせるかが問われる。
がんの治療薬探しに用いられる「がん遺伝子パネル検査」を、いまより早い段階で行うとどうなるのか。京都大病院の研究では、標準治療のごく初期から検査を行ったところ、およそ4人に1人が結果を手がかりにした治療に進めたと報告された。保険診療が認める時期より前倒しで受ける意義と、患者・医療側にとっての課題を考える。
高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に感染した乳牛の生乳で、ウイルスが冷蔵中も長く生き残ることが分かった。東京大学新世代感染症センターの河岡義裕機構長らは、4℃で少なくとも約5カ月は感染力が保たれると報告している。感染牛のミルクが想定以上にしぶといことが示され、酪農現場や私たちの食卓のリスク管理をどう見直すかが問われている。
ウクライナ南部の前線都市ヘルソンと港湾都市オデーサが、再び電力インフラへの夜間攻撃にさらされた。地元当局や電力大手DTEKによると、オデーサ州では約5万世帯が停電し、ヘルソン市では熱電併給施設の停止で約4万人が暖房を失った。冬の気配が強まる中、住民は暗く冷え込む住まいで次の一撃に備えながら、「この先どう暮らしを守るのか」という問いに直面している。
厚生労働省が12月2日に公表した2024年の国民健康・栄養調査で、20歳以上で糖尿病が強く疑われる人が推計約1100万人に達したことが明らかになった。2016年の前回調査からおよそ100万人増え、成人のおよそ8人に1人が該当する計算だ。一方で、血糖値が高めだがまだ発症には至っていない「予備群」は約700万人と減ってきている。職場や自治体の健診で「境界」と言われた世代が、いつのまにか本格的な治療を要…
厚生労働省が、分娩費用を公的医療保険で全額賄う案を社会保障審議会に示す。通常の出産を事実上「自己負担ゼロ」とする構想で、早ければ来年の通常国会に関連法案を出し、27年度以降の実施をめざすという。出産費用の高騰が家計を圧迫するなか、誰がどのように負担を分かち合うのかが改めて問われている。
例年より1か月早く広がるインフルエンザの陰で、今季の主流株の約96%が新たな変異株「サブクレードK」だと厚生労働省などが公表した。感染しやすい一方で重症度は従来並みとされるこのウイルスは、この冬の生活や備えをどこまで変えるのだろうか。
ロシア軍が11月30日未明(現地時間)、ウクライナのキーウ州に無人機攻撃を行い、州都近郊ビシュホロド地区で1人が死亡、11人が負傷した。キーウ州軍行政府トップの発表によれば、負傷者には子ども1人が含まれ、数人が病院で手当てを受けているという。高層住宅の一部は激しく燃え、現場では消防隊や医療チームに加え、心理士も住民のケアにあたったと報じられている。前線から離れた首都圏の人々に、続く夜間攻撃がどのよ…
市販薬と成分や効果が近い処方薬「OTC類似薬」をめぐり、厚生労働省が新たな負担のあり方を示した。公的医療保険の対象からは外さず、患者の自己負担を上乗せする案で、27日に開かれた社会保障審議会の医療保険部会ではおおむね支持が集まったという。年末までに見直しの方向性を固める方針で、薬局の棚に並ぶ保湿剤や抗アレルギー薬を前に、誰がどこまで負担するのかという線引きが問われている。
マウスの脳の血管が、わずか30分だけゆるむ。その瞬間をモニター越しに見つめながら、大阪大と愛媛大などの研究者たちは、新しい化合物「CL5B」の可能性を確かめていた。血液中の薬が届きにくい脳内へ、この物質を使って安全に成分を送り込めることが、今回の実験で示されたのである。成果をまとめた論文は、2025年10月11日に国際科学誌Journal of Controlled Releaseに掲載された。
ソウル中央地裁の法廷で判決を聞いた男は、最後までうつむいたままだった。2025年11月24日、メッセージアプリ「テレグラム」という匿名性の高い場を利用して、数百人を性的に搾取したとして、「自警団」と呼ばれる組織を率いたキム・ノクワン被告(33)に無期懲役が言い渡された。被害者の多くは子どもや若者で、裁判所は「社会からの永久隔離が必要だ」として、韓国で過去最大規模とされるデジタル性犯罪に重い判断を示…
診察室のモニターに、手術から10年が経った女性患者の右目の画像が映し出された。神戸市立神戸アイセンター病院の医師たちは、異常な影がないか慎重に確認する。この女性は2014年、iPS細胞から作った網膜の細胞シートを世界で初めて移植された人だ。その細胞が長い年月を経てもがん化していないと分かり、現場には安堵が広がった。
会見場でマイクを握った研究者が、長く待たれてきた言葉を口にした。希少難病ミトコンドリア病に挑む世界初の治療薬候補「MA-5」が、いよいよ患者を対象にした第2相臨床試験へ進む。生命維持に欠かせないエネルギー産生の異常で多臓器に障害をもたらすこの病に、新たな一手が投じられようとしている。
マウスの脳から取り出した神経細胞を前に、研究者たちはわずかな変化を追い続けてきた。その粘り強い観察の先で、理化学研究所とスウェーデンのカロリンスカ研究所などの国際チームが、アルツハイマー病の新しい治療標的になり得る受容体たんぱく質を見つけた。細胞表面にあるこの受容体に結合する物質を薬として設計できれば、現在より手の届きやすく、安全性の高い治療薬につながる可能性があるという。
鼓動の変化を映す動画が会場に流れると、福田恵一医師は静かに経過を語った。慶応大発のHeartseedが進める、iPS細胞由来の心筋球を用いた世界初の治験で、手術から半年以上を経た患者で心機能の回復が示されたという。重い心不全に対し、移植に頼らない再生医療が輪郭を得つつある。
机の上に積まれた資料をめくる音が、静かな会議室に続いた。高額療養費制度の在り方を話し合う厚生労働省の専門委員会が21日に開かれ、70歳以上の外来診療費を抑えてきた「外来特例」をどうするかが最大の論点となった。月ごとの上限額に達すれば自己負担がほとんど増えない仕組みは「通院し放題」だとの批判も受ける一方、多くの高齢者を支えてきた安全網でもある。政府は、世代間の負担の公平さと暮らしの安心のはざまで、新…
診察室の前で順番を待つ子どもの咳が、静かな午前の外来に重なる。こうした光景が各地で広がるなか、厚生労働省は2025年11月21日、季節性インフルエンザの患者数が全国平均で1医療機関あたり37.73人となり、全国的に警報レベルに達したと公表した。新型コロナの流行後も続く呼吸器感染症の波の中で、この数字は改めて警戒を促すものとなっている。
透明化したマウスの脳をライトシート顕微鏡が静かに走査し、記録は脈のような高まりを描いた。東京大の上田泰己教授らが、独自技術CUBIC(臓器を透明化して3次元化する手法)で脳全体の神経活動を解析し、約8割の領域に1日周期のリズムを見いだした。論文は2025年11月14日、米科学誌サイエンスに掲載された。脳疾患の理解や創薬に新たな地図を与える成果だ。
顕微鏡の前で研究者たちが指さしたのは、小胞体の奥に浮かぶ小さな“仕事場”だった。東北大学を中心とする国際チームが、細胞内小器官である小胞体(タンパク質をつくり品質を整える場所)の内部に、インスリンの形づくりを助ける特別な区画を見いだした。発表は2025年11月11日に行われ、治療が難しい病の理解と創薬に新しい道筋を与える成果となった。
マイクロソフトのAI部門トップ、ムスタファ・スレイマン氏が新組織「MAI Superintelligence Team」を立ち上げたと明かした。出発点は医療診断で、特定領域で人を大きく上回る性能を狙うという。企業として「多額の資金」を投じ、2〜3年で医療超知能の実像が見えると語った。汎用ではなく課題解決に特化させる方針は、AIの進化を社会にどう結びつけるかという問いに、現実的な輪郭を与える動きでも…