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東京理科大学の向井理助教と横浜国立大学の丸尾昭二教授らの研究グループは、光を当てると固まり、熱を加えると液体に戻せる再利用型の光造形樹脂を開発した。研究成果は2026年2月21日付で米化学会誌ACS Omegaに掲載され、造形した材料を液体に戻して再び使う工程を10回超繰り返しても劣化が小さいことを示した。
開始剤不要のアントラセン系樹脂
この樹脂は、開始剤を加えずに使えるアントラセン系の光硬化性材料だ。開始剤とは、光を受けて樹脂を固める反応のきっかけを作る添加剤で、不要にできれば材料設計を単純にしやすい。研究グループは、通常の光を使う単光子光造形と、焦点付近だけを高精細に固める2光子光造形の双方で利用できることを示した。
造形後の構造物は加熱によって液体に戻り、再び光造形に使える。東京理科大学は5月19日の発表で、この材料を「10回以上再利用可能な“完全再生型”3Dプリンティング樹脂」と位置づけた。研究成果はACS Editors’ Choiceにも選ばれた。
高精細造形の廃棄を減らす材料提案
光造形は3Dプリンティングの中でも細かな形を作りやすく、2光子光造形はサブミクロン級の微細構造を作れる技術として使われている。今回の研究でも、2光子光造形で約0.6µmの細線構造を形成できることを確認した。一方、従来の光造形樹脂は造形時に密な網目状の構造を作るため、完成後に熱や溶媒で溶かしにくく、失敗品や試作品を材料として戻しにくいことが課題だった。
今回の成果は、「高精細に作れるが、いったん固めると戻しにくい」という制約に、材料側から答えるものだ。光で固め、熱で液化し、再造形する流れを10回以上で実証したことで、試作を繰り返す微細デバイスや研究用途で、材料の無駄を抑える道筋を示した。量産用途での普及や既存樹脂の置き換えまでを示したものではなく、サステナブルな高精細3D造形に向けた基盤的な提案にとどまる。
参考・出典
- 光だけで固まり、熱で元に戻る―10回以上再利用可能な“完全再生型”3Dプリンティング樹脂を開発|東京理科大学
- Initiator-Free Recyclable Anthracene-Based Photocurable Resin Enabling Sustainable 3D Printing via Single- and Two-Photon Stereolithography | ACS Omega
- Initiator-Free Recyclable Anthracene-Based Photocurable Resin Enabling Sustainable 3D Printing via Single- and Two-Photon Stereolithography | ACS Omega
