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早稲田大学、理化学研究所、シンガポール国立大学の研究グループは、光と原子という性質の異なる量子系を結ぶ「制御変位ゲート」を、光パルスの1回の反射で直接実装する理論手法を示した。論文は2026年5月12日、米物理学誌「Physical Review Letters」に掲載された。原子を捕捉した共振器に光パルスを1回だけ反射させると同時に、原子をレーザーで制御する方式で、従来の複数回反射を前提とする手法に比べ、操作時間の短縮と誤り率の低減が期待される。
1回反射で量子ゲートを組む新方式
量子情報処理では、光は高速・長距離伝送に向く一方、光単独では量子性の強い非線形操作が難しい。そこで、通信に向く光と、情報を保持しやすい原子を組み合わせるハイブリッド量子系が重要な研究分野になっている。制御変位ゲートは、原子などの量子状態に応じて光の量子状態を位相空間上で変位させる基本操作で、光と原子の間に量子もつれを生じさせる土台となる。
従来手法では、原子を閉じ込めた共振器に光パルスを複数回反射させ、さらに光の干渉操作を組み合わせて1つの量子ゲートを合成していた。反射の回数が増えるほど、光の損失や量子誤りが積み上がり、ゲート精度が下がりやすい構造だった。
今回の研究は、共振器内部での光損失や原子の自然放出を取り込んだ解析モデルを導出した。そのうえで数値シミュレーションによりモデルの有効性を確認し、パラメータを最適化することで、従来手法よりゲートエラーを大幅に低減できることを示した。
量子ネットワークへの基盤技術
研究グループは、早稲田大学先進理工学研究科の木倉清吾大学院生、早稲田大学理工学術院の青木隆朗教授、理化学研究所量子コンピュータ研究センターの後藤隼人チームディレクター、シンガポール国立大学の花村文哉博士研究員らで構成される。論文名は「Single-shot conditional displacement gate between a trapped atom and traveling light」。早稲田大学は5月15日付で研究成果を公表した。
研究が見据えるのは、原子を量子メモリ、光を通信媒体として使う量子ネットワークなどへの応用だ。離れた場所にある量子装置を光でつなぎ、原子側で情報を保持・処理する構成では、光と原子を高い精度で結びつける基本操作が欠かせない。
今回の成果は理論提案であり、量子ネットワークや分散型量子コンピュータが実装されたわけではない。今後は、高い内部協同係数を持つ共振器系などの実験環境で、単一反射型ゲートの精度と実装可能性を検証することが焦点となる。
