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政府の「人工知能基本計画」の初改定案は、AIによるサイバー攻撃への備えを強める内容となる見通しだ。最新AIモデルの悪用リスク評価や政府関係機関・民間の情報共有を具体化し、高性能AIに対応する法制度の不断の見直しも盛り込む。7月の閣議決定を目指す。
毎年見直す前提の初のAI国家戦略
人工知能基本計画は2025年12月23日に閣議決定された。内閣府はこれを日本で初めてのAIに関する国家戦略と位置付けている。AIは技術の進展が速く、使われ方も短期間で変わるため、基本計画は当面、毎年見直し、技術動向や社会情勢に即応するとしていた。
令和8年4月の改定検討資料では、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)が中核的な役割を担い、関係機関と協力する方向が示された。AIによるサイバー攻撃や防御をめぐっては、AIインシデント情報を収集・評価し、NCO(国家サイバー統括室)、NSS(国家安全保障局)、警察庁、防衛省、経済産業省などの政府関係機関と共有する。被害や脅威の情報を一部門に閉じ込めず、政府関係機関と民間が連携して対応策を検討する体制づくりが柱となる。
同資料は、新たなAIが「影響の大きな悪用」に使われ得るかを評価するため、第三者評価が可能な環境を本格的に構築する方針も掲げた。対象は大規模言語モデルにとどまらず、文章、画像、音声などを扱うマルチモーダルAI、自律的に作業するAIエージェント、ロボットなど現実空間で動くフィジカルAIへ広げる。これらに対応するガイドラインの作成・改訂も進める。
抽象論から運用設計への移行
原計画には、国内政策と対外政策を一体で進める「内外一体での政策推進」が盛り込まれている。改定検討資料でも、AISIの活動としてAI関連情報の収集・分析・提供に加え、国際協調の主導が挙げられた。AIの安全性評価やサイバー脅威への対応は一国だけで完結しにくく、各国との情報共有や評価手法のすり合わせが重要になる。
今回の改定論点では、AIをどう活用するかという一般論に加え、悪用時の評価主体、情報共有先、制度見直しの手順といった実務面が前面に出ている。最終的な改定本文では、AISIや関係機関の役割分担、評価の対象範囲、外国政府との連携強化、法制度見直しの具体的な領域が制度設計の中身を左右することになる。
