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富士通は5月25日、複数のAIエージェントがチームとして業務を遂行しながら、実行結果や人によるフィードバック、制度改定、仕様変更を取り込み、継続的かつ安全に学習する「自己進化マルチAIエージェント」技術を開発したと発表した。従来は専門家が担ってきたプロンプト調整や評価基準、運用ルールの見直しの一部を、AIエージェント側が引き受ける方向を打ち出した形だ。
失敗理由を学び、次の業務に反映
企業の業務現場では、法改正や社内システムの変更、仕様更新、現場ルールの見直しが絶えず起きる。AIエージェントを導入しても、環境が変われば判断の前提も変わるため、従来は専門家が継続的に調整しなければ、最新の業務に合わせ続けることが難しかった。
今回の技術は、AIエージェントが業務実行中に成功や失敗の理由を見極め、単なる改善メモとしてため込むのではなく、次に使える知識や運用上の示唆として抽出する点を特徴とする。要するに、失敗した作業を「なぜうまくいかなかったのか」まで整理し、次回の判断や手順に反映する仕組みである。
富士通はこの技術を、業務特化LLM「Takane」の構築プロセス全体にも適用できるとしている。データ選定、学習条件の調整、評価、改善といった工程をマルチAIエージェントが自律的に実行し、最適化する。業務ごとにAIを作り込む作業そのものを、AIチームが支援する構図だ。
Kozuchi基盤への統合と現場展開
同社は、Fujitsu Kozuchiで提供を構想する「Multi AI Agent Framework」を、AI知識の少ない利用者でも複数エージェントのワークフローを組み立てやすいローコード型の基盤と位置付けている。Agentic Memory、人を介した改善を含む監視・ルーティング、複数エージェントの連携、エージェント間通信の監視によるセキュリティといった機能の上に、今回の「継続的かつ安全な自己進化」の層を重ねる狙いだ。
今後はこの技術を専有型AIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi Enterprise AI Factory」に組み込み、業務特化AIの内製化と自律運用を支えるコア技術として提供する方針だ。会議支援、現場作業支援、データサイエンス支援など幅広い用途への適用を進めるほか、クラウドだけでなく、高機密なオンプレミス環境やエッジ環境でも継続学習するAIチームの実現を目指す。
カーネギーメロン大学のGraham Neubig准教授、Tim Dettmers助教との共同研究の知見と、自社の生成AI再構成技術を組み合わせ、自己進化マルチAIエージェントシステムをより少ないメモリと電力で動作させる技術開発も進める。人材不足への対応、制度変更への追随、現場の暗黙知の継承に応用できる可能性がある一方、現段階は技術開発の発表であり、提供時期や価格、導入条件などの具体的な商用条件は明らかにされていない。
