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中国税関データを基にした報道によると、2026年5月も中国から日本向けの重希土類輸出は低水準にとどまった。レアアース磁石に使われるテルビウム酸化物とジスプロシウム酸化物の出荷は途絶えた状態が続き、イットリウム酸化物もごく少量に限られた。日本の重要鉱物調達をめぐる不安は、5月時点でも解消していない。
重希土類で続く中国依存のリスク
日本は、中国以外では世界最大級のレアアース磁石生産拠点を抱える。だが、磁石の性能を左右する重希土類では中国への依存が大きい。ジスプロシウムやテルビウムは、電気自動車や産業機械に使う高性能磁石の耐熱性を高める材料で、供給が細れば生産計画や調達コストに直接響きやすい。
中国は2025年2月4日、タングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウム関連品目を輸出管理の対象に追加した。続く2025年4月4日には、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7種の中・重レアアース関連品目に輸出規制を導入した。さらに中国商務部は2026年1月6日、日本の軍事ユーザーや軍事用途、日本の軍事力向上に寄与する用途などを対象に、両用品目の対日輸出管理を強化すると発表し、即日施行した。両用品目とは、民生用にも軍事用にも使える物資を指し、用途や最終需要者によって許可審査の対象になりやすい。
低迷は希土類だけではない。タングステン加工品では、炭化タングステンが2026年1月に約14トン、タングステン粉末が約10.5トン日本向けに輸出されていた一方、2月から4月はゼロだった。タングステンは超硬工具などに使われる硬い金属で、製造業の基盤素材の一つだ。重希土類とタングステン関連の双方で対日フローが細っている構図が鮮明になっている。
品目ごとに異なる締め付けの度合い
一方で、重要鉱物全体が一律に止まっているわけではない。5月の日本向けガリウムには一部持ち直しがあり、2025年12月以来初めての大口出荷があった。中国全体のレアアース磁石輸出も、5月は前月比35%減で前年同月以来の低水準となったが、それ以前の数カ月は歴史的な水準に近かった。問題の焦点は、レアアース全般ではなく、日本向けの特定原料が長期にわたり細っている点にある。
供給不安を受け、日本企業側では代替調達や国内外での精製能力の整備に向けた動きも出ている。信越化学工業が2008年以来となる新たなレアアース精製施設の建設を計画しているとも報じられている。外交面でも、6月中旬のG7サミットでは重要鉱物の共同備蓄や調達先多様化に向けた連携が議題となった。今後は、6月以降に対日出荷が正常化するか、メーカーや商社の在庫がどこまで持ちこたえるか、輸出管理が実務上どのように運用されるかが焦点となる。
