KDDIと米NVIDIAら、実ネットワーク再現の仮想RANを検討

KDDI、6G向け「デジタルツインRAN」構築へ NVIDIAらと共同検討開始

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KDDIとKDDI総合研究所は6月23日、NVIDIA、Keysight、Samsung Research Americaの協力のもと、実ネットワークを仮想空間へ再現する「デジタルツインRAN」(high-fidelity Digital Twin RAN)の構築に向けた共同検討を始めた。RAN(無線アクセスネットワーク)をデジタル上に再現し、AIの学習や検証、運用最適化に使う基盤を目指す。

6G時代を見据えた「仮想の実験場」

Digital Twin RANは、物理ネットワークの複雑な振る舞いを高い忠実度で再現する仮想環境だ。O-RAN Allianceは、リアルタイム性を備えたこうした仕組みを、6G時代にさらに複雑化するネットワークに対応する重要技術と位置付けている。要するに、本番の通信網に手を加える前に、仮想空間でAIや制御方法を試せる「精密な実験場」をつくる発想である。

今回の共同検討では、KDDIが商用ネットワークデータの提供と商用トライアルを担い、KDDI総合研究所がユースケース創出や伝搬予測技術の開発、技術要件の定義を進める。NVIDIAはAODT(Aerial Omniverse Digital Twin)とアクセラレーテッドコンピューティング基盤、KeysightはUE(ユーザー端末)の再現技術、Samsung Research AmericaはvRAN技術を提供する。AIを使って基地局や無線制御を高度化するには、現実に近い条件で学習・評価できる環境が欠かせない。

KDDI側では、RAN運用をAIで高度化する取り組みがすでに進んでいる。KDDIとKDDI総合研究所は2月、基地局動作に関わる多様なパラメーターを複数のAIが協調して自律最適化する技術を一部エリアの基地局に導入し、2026年度中に全国の基地局へ順次導入する計画を示している。5月にはKDDIと楽天モバイルが、仮想化基地局と計算基盤を同時に最適化し、電力消費の抑制を目指すNEDOの研究開発事業に採択されている。

AI-RAN実用化へ、検証の精度が焦点

AI-RANでは、通信品質、トラフィックの変動、端末の移動、電力消費など、多くの条件が絡み合う。AIモデルを現場に投入する前に、多様なネットワーク条件で学習、検証、性能比較を行える仕組みが必要になる。2026年3月のMWCでは、Keysight、サムスン、NVIDIAがAI-RANの検証ワークフローを示しており、データ生成からモデル学習、ベンチマーク、デジタルツイン活用までを一体化する方向性が明確になっている。

今後の焦点は、実ネットワーク由来のデータをどの程度取り込むのか、通信品質や電力、検証効率などの指標をどう設定するのかにある。公式発表では、5社は2028年度末までにデジタルツインRANのスケーラビリティを実証するプロトタイプの構築を目指し、2030年度末までに多様なユースケースへ対応させ、KDDIの商用ネットワーク上で性能検証を進める方針を示している。今回の取り組みは商用導入の完了ではなく、高忠実度のDigital Twin RAN構築に向けた共同検討の開始である。

参考・出典

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